■陶淵明の偽作
かつて「問来使」(陶淵明の偽作)について、述べたことがある。
「李白全詩集」(久保天随訳註)続国訳漢文大系
をみていたら、訳註者はこの「問来使」を陶淵明の真作だと勘違いしていることが分かった。
吉川幸次郎の「陶淵明伝」も、「四時」(偽作)を、陶淵明の真作と信じて、引用したらしい。もっとも、吉川幸次郎は、弟子の一海知義に指摘されて、改めたらしく、いま入手できる「陶淵明伝」では、削除された様である。
「園田の居に帰る」(帰園田居)その六
も、「字源」の編者は、陶淵明の真作だと信じている。
南宋の湯漢の「靖節先生詩集」は、すでに「問来使」、「(帰園田居)その六」が偽作であると断定している。「四時」もまた、南宋の湯漢により、偽作と断定されている。
日本の漢学者は、どのようなテキストで、陶淵明を読んだのだろう。 (阪本ひろむ)
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