(その1)では主としてリジット,すなわち単位円上の定点に対する距離構造を調べた.それに対して(その2)はフレキシブル(単位円上の動点に対する距離構造)を調べたものであった.今回のコラムでは両者の中間にある部分を補完するが,その前にこれまでのまとめから・・・
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【1】リジッド
正n角形が単位円に内接しているとき,
[1]ひとつの頂点から他のn−1個の距離の平方和は2nに等しい.
[2]ひとつの頂点から他のn−1個の距離の積はnに等しい.
[3]ひとつの頂点から他のn−1個の距離の逆数の平方和は(n^2−1)/12に等しい.
また,制約条件付きで
[1]ひとつの頂点から他のn−1個の距離の平方和は2nに等しい(n>1).
[2]ひとつの頂点から他のn−1個の距離の4乗和は6nに等しい(n>2).
[3]ひとつの頂点から他のn−1個の距離の6乗和は20nに等しい(n>3).
[4]ひとつの頂点から他のn−1個の距離の8乗和は70nに等しい(n>4).
[5]ひとつの頂点から他のn−1個の距離の2m乗和は2mCmnに等しい(n>m).
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【2】リジッドとフレキシブルの中間
S0:ひとつの頂点から他のn−1個の距離の2m乗和
S2:円弧の中点からn個の距離の2m乗和
S4:円弧の4等分点からn個の距離の2m乗和
S8:円弧の8等分点からn個の距離の2m乗和
とする.
前節はS0に関する性質を述べたものであるが,S2についても
[1]平方和は2nに等しい(n>1).
[2]4乗和は6nに等しい(n>2).
[3]6乗和は20nに等しい(n>3).
[4]8乗和は70nに等しい(n>4).
[5]2m乗和は2mCmnに等しい(n>m).
で変わらない.
ところが,S4(あるいは(S0+S2)/2)については
[1]平方和は2nに等しい(n>1/2).
[2]4乗和は6nに等しい(n>2/2).
[3]6乗和は20nに等しい(n>3/2).
[4]8乗和は70nに等しい(n>4/2).
[5]2m乗和は2mCmnに等しい(n>m/2).
S8(あるいは(S0+S2+2S4)/4)については
[1]平方和は2nに等しい(n>1/4).
[2]4乗和は6nに等しい(n>2/4).
[3]6乗和は20nに等しい(n>3/4).
[4]8乗和は70nに等しい(n>4/4).
[5]2m乗和は2mCmnに等しい(n>m/4).
と制約条件が緩和される.
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【3】フレキシブル
円弧上の動点からn個の頂点までの距離の2m乗和は,定数となって
2mCmn (n>m)
に等しいのに対して,2m+1乗和は定数にならない.
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