縮小三角形の相似条件式は
a^2+λb^2−(λ+1)c^2=0
である.もちろんa=b=cはこれを満足するが,それ以外にも多数の解がある.等号を満たすためには
a≦c≦bまたはb≦c≦a
であることが必要条件になる,
不定方程式
a^2+λb^2−(λ+1)c^2=0
において,λ=2のとき,a=1,b=11,c=9がひとつの解であるが,これでは三角形にならない! 二辺の和は他の一辺よりも長いかどうかを確かめる必要がある.
阪本ひろむ氏がλ=1000までの計算を行った.その結果,λ=630を超えたあたりで,a,b≦1000の答えがなくなることがわかった.三角形をなす整数(a,b,c)については無限に解があることが予想される.また, a^2+λb^2=(λ+1)c^2
の整数解について,a=b=cのとき,常に
a^2+λb^2=(λ+1)c^2
が成り立つのでオミットするが,鋭角三角形をなす整数(a,b,c)についても無限に解があることが予想されるところである.
これらのデータから何か結論を導くことは考えられそうにないが,三角形あるいは鋭角三角形になるかどうかは別問題として,まず最初に,不定方程式
a^2+λb^2−(λ+1)c^2=0
が無限に整数解があることを導いておきたい.数学的な発見に至るかどうか・・・
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当初,
a^2+λb^2−(λ+1)c^2=0
の整数解を代数幾何的(類体論的?)に求めるのが近道と思われたのだが,東海大学の桑田孝泰先生が素敵な方法で,無限に整数解があることを証明してくれた.
まず,
C: x^2+λy^2=λ+1
の有理数解を求める.楕円上の点(1,1)はその解のひとつであるから,C\(1,1)∩Q^2とQとは1:1に対応する.
点(1,1)を通る傾きμの直線:
y=μ(x−1)+1
と楕円との交点Pは,
x^2+λ(μx−μ+1)^2=λ+1
(1+λμ^2)x^2−2λμ(μ−1)x+λ(μ−1)^2−λ−1=0
(x−1)((1+λμ^2)x−λ(μ−1)^2+λ+1)=0
より,
P((λμ^2−2λμ−1)/(1+λμ^2),(−λμ^2−2μ+1)/(1+λμ^2))
よって,μ=m/nとおき分母を払うと,
a^2+λb^2−(λ+1)c^2=0
の整数解
(a,b,c)=(λm^2−2λmn−n^2,−λm^2−2mn+n^2,m^2+λn^2)
を得る.
λ=2のとき,
(a,b,c)=(2m^2−4mn−n^2,−2m^2−2mn+n^2,m^2+2n^2)
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