■シュタイナーの定理におけるオイラー・フース型定理(その2)

 和算の問題には内接円の大きさを求めよというものが多い.たとえば,

[Q]外円内に甲乙乙丙丙丁の6円が戊円を取り巻いて内外接している.

  (甲)

 (乙戊乙)

 (丙丁丙)

外円の直径は18寸,甲円の直径が3寸のとき,丁円の直径を求めよ.

といった具合である.

 ここでは,外円の直径は2R寸,甲円の直径は丙円の直径のm倍のとき,丙円の直径を求めよという類の問題を取り上げて,この問題が解をもつmの範囲はどうなっているのかを一般解の形で求めてみたい.

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【1】狭い側の円の直径の円被覆

  d^2=r^2−rR(s+1/s)+R^2

  ここで,r≦sRという条件がつくが,これについては問題なし.

 また,題意より

  R−d−r=2mr

  d=R−(2m+1)r

  d^2=(2m+1)^2r^2−2(2m+1)rR+R^2

  ここで,r≦R/(2m+1)という条件がつく.

 これより

  4m(m+1)r^2−(4m+2−s−1/s)rR=0

  4m(m+1)r−(4m+2−s−1/s)R=0

  r=(4m+2−s−1/s)R/4m(m+1)

したがって,m>(s+1/s−2)/4となるが,他の必要条件も満たしているであろうか?

 r=(4m+2−s−1/s)R/4m(m+1)≦R/(2m+1)

については

  (4m+2−s−1/s)(2m+1)≦4m(m+1)

  4m^2+2(2−s−1/s)m+2−s−1/s≦0

  m^2+(2−s−1/s)m/2+(2−s−1/s)/4≦0

  (m+(2−s−1/s)/4)^2≦−(2−s−1/s)/4+{(2−s−1/s)/4}^2

ここで,c=(s+1/s−2)/4とおくと

  (m−c)^2≦c+c^2

 以上をまとめると,

  c<m≦c+(c+c^2)^1/2,c=(s+1/s−2)/4

[1]n=3のとき

  s+1/s=14,b=4,(b+b^2)^1/2=√12

  3<m≦3+√12=6.4641

[2]n=4のとき

  s+1/s=6,b=1,(b+b^2)^1/2=√2

  1<m≦1+√2=2.41421

[3]n=5のとき

  s+1/s=22−8√5,b=5−2√5,(b+b^2)^1/2=(50−22√5)^1/2

 .527864=5−2√5≦m≦5−2√5+(50−22√5)^1/2=1.42592

[4]n=6のとき

  s+1/s=10/3,b=1/3,(b+b^2)^1/2=2/3

  1/3≦m≦1

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【2】広い側の円の直径の円被覆

  d^2=r^2−rR(s+1/s)+R^2

  ここで,r≦sRという条件がつくが,これについては問題なし.

 また,d>0のときは,題意より

  R+d−r=2mr

  d=(2m+1)r−R

  d^2=(2m+1)^2r^2−2(2m+1)rR+R^2

  ここで,r≧R/(2m+1)という条件がつく.

d<0のときは

  R−d−r=2mr

  d=R−(2m+1)r

  d^2=(2m+1)^2r^2−2(2m+1)rR+R^2

  ここで,r≧R/(2m+1)という条件がつく.

 どちらの場合も

  4m(m+1)r^2−(4m+2−s−1/s)rR=0

  4m(m+1)r−(4m+2−s−1/s)R=0

  r=(4m+2−s−1/s)R/4m(m+1)

したがって,m≧(s+1/s−2)/4となるが,他の必要条件も満たしているであろうか?

 r=(4m+2−s−1/s)R/4m(m+1)≧R/(2m+1)

については

  (4m+2−s−1/s)(2m+1)≧4m(m+1)

  4m^2+2(2−s−1/s)m+2−s−1/s≧0

  m^2+(2−s−1/s)m/2+(2−s−1/s)/4≧0

  (m+(2−s−1/s)/4)^2≧−(2−s−1/s)/4+{(2−s−1/s)/4}^2

ここで,c=(s+1/s−2)/4とおくと

  (m−c)^2≧c+c^2

 以上をまとめると,

  m≧c+(c+c^2)^1/2,c=(s+1/s−2)/4

  mの上限は規定することができない.

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【3】余録

  s+1/s=2(1+(sin(π/n))^2)/(1−(sin(π/n))^2)

 =2(1+(sin(π/n))^2)/(cos(π/n))^2

 =2((cos(π/n))^21+2(sin(π/n))^2)/(cos(π/n))^2

 =2(1+2tan^2(π/n))

であるから,

  c=(s+1/s−2)/4=(tan(π/n))^2

  (c+c^2)^1/2=tan(π/n)sec(π/n)

  c+(c+c^2)^1/2=tan(π/n){tan(π/n)+sec(π/n)}

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