三角形ABCの各辺を1:λの比に順次内分した点D,E,Fとし,AD,BE,CFの2本ずつの交点が作る三角計PQRを仮に「縮小三角形」と呼ぶことにすると,縮小三角形の相似条件式は
a^2+λb^2−(λ+1)c^2=0
となる.
次に,与えられた△ABCの各辺を伸長した位置に点A’,B’,C’をとって作った△A’B’C’を「拡大三角形」と呼ぶことにすると,もとの△ABCと相似になるための条件は,内分を外分に直すために
1→λ,λ→−(λ−1),λ+1→1
に置き換えて
λa^2−(λ−1)b^2−c^2=0
c^2+(λ−1)b^2−λa^2=0
すなわち,縮小三角形において,λ→λ−1に置き換えたものになると思われるが,考察がラフすぎる気もする.
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[1]一般に与えられた三角形の各辺をλ:1,μ:1,ν:1に分ける位置に点をとって対頂点と結んで作った三角形の面積は,もとの三角形の面積の
M=(λμν−1)^2/(λμ+λ+1)(μν+μ+1)(νλ+ν+1)
倍に等しくなる.
λ=μ=νの場合,
M=(λ^3−1)^2/(λ^2+λ+1)^3=(λ−1)^3/(λ^3−1)
倍に等しくなる.λ=μ=ν=2のとき1/7.λ=μ=ν=−2のとき3.
[2]与えられた三角形の各辺をλ:1,μ:1,ν:1に分ける位置に点をとって点同士を結んで作った三角形の面積は,もとの三角形の面積の
M=(λμν+1)/(λ+1)(μ+1)(ν+1)
倍に等しくなる.
(証)1/(λ+1)・μ/(μ+1)+1/(μ+1)・ν/(ν+1)+1/(ν+1)・λ/(λ+1)=1−(λμν+1)/(λ+1)(μ+1)(ν+1)
λ=μ=νの場合,
M=(λ^3+1)/(λ+1)^3
倍に等しくなる.λ=μ=ν=2のとき1/3.λ=μ=ν=−2のとき7.
すなわち,内分・外分に関係なく,
[1]点を対頂点と結ぶか(縮小三角形)
[2]点同士を結ぶか(拡大三角形)
という点に本質的な違いがあるのである.
したがって,内分を外分に直すために
1→λ,λ→−(λ−1),λ+1→1
に置き換えて
λa^2−(λ−1)b^2−c^2=0
c^2+(λ−1)b^2−λa^2=0
とした操作は正しくないものと考えられる.拡大三角形[2]を作るために,縮小三角形[1]の相似条件式を用いているからである.
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もし,上述の操作が正しいとすると,以下のような和算風の問題を作ることができるのだが・・・
[Q]3辺の長さa,b,cがすべて整数の△ABCが与えられている.△ABCの各辺を3倍伸長した位置に点A’,B’,C’をとって作った△A’B’C’がもとの△ABCと裏返しに相似になっている.AA’+BB’+CC’=58寸のとき,辺の長さa,b,cを求めよ.
[誤]λ=3
2(a+b+c)=58
a^2+2b^2−3c^2=0
(a,b,c)=(5,13,11)
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