一般に与えられた三角形の各辺を同じ倍率kで伸縮した位置に点をとって作った三角形の面積は,もとの三角形の面積の
M=3k^2−3k+1=3(k−1/2)^2+1/4
倍になる.
k=1/3 → M=1/3 (3等分)
k=1/2 → M=1/4 (4等分)
k=2/3 → M=1/3 (3等分)
k=1 → M=1
k=2 → M=7 (7等分)
となる.
0<k<1のときはもとの三角形より小さくなり,k=1/2のとき最小値1/4をとる.k>1のときはもとの三角形より大きくなり,k=2のときには7倍になる.
同じく,四角形の各辺を同じ倍率kで伸縮した位置に点をとって作った四角形の面積は,もとの四角形の面積の
M=2k^2−2k+1=2(k−1/2)^2+1/2
倍になる.0<k<1のときはもとの四角形より小さくなり,k=1/2のとき最小値1/4をとる.k>1のときはもとの四角形より大きくなり,k=3/2のときには5/2倍になる.
各辺を同じ倍率kで伸縮した位置に点をとって作った三角形の面積は,もとの図形の三角形小部分の面積のk(k−1)倍になるが,もとの三角形は3重に,もとの四角形は2重に数えられているので,それぞれ,
3k(k−1)+1
2k(k−1)+1
になるというわけである.
しかし,任意のn(≧5)角形では,与えられた図形に数えられない部分が生ずるので,同様の公式は存在しないことになる.
今回のコラムでは,与えられた三角形の各辺を倍率λ,μ,νで伸縮した位置に点をとって作った三角形の面積は,もとの三角形の面積の小部分の
μ(λ−1)+ν(μ−1)+λ(ν−1)+1
倍になることを利用して
[Q]与えられた△ABCの各辺を伸長した位置に点A’,B’,C’をとって作った△A’B’C’がもとの△ABCと同じ向きに相似相似になっている.
A’B’=3寸,B’C’=6寸,A’C’=4寸,AA’+BB’+CC’=5寸のとき,CC’の長さを求めよ.
を解くことを考えてみたい.
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【1】失敗例
a^2=b^2+c^2−2abcosA
b^2=c^2+a^2−2cacosB
c^2=a^2+b^2−2abcosC
相似比をkとすると
(kb)^2={(λ−1)a}^2+(μb)^2+2(λ−1)μabcosC
(kc)^2=|(μ−1)b}^2+(νc)^2+2(μ−1)νbccosA
(ka)^2={(ν−1)c}^2+(λa)^2+2(ν−1)λcacosB
cosA,cosB,cosCを消去すると
(kb)^2={(λ−1)a}^2+(μb)^2+(λ−1)μ(a^2+b^2−c^2)
(kc)^2=|(μ−1)b}^2+(νc)^2+(μ−1)ν(b^2+c^2−a^2)
(ka)^2={(ν−1)c}^2+(λa)^2+(ν−1)λ(c^2+a^2−b^2)
k^2(a^2+b^2+c^2)=a^2{(λ−1)^2+λ^2+(λ−1)μ+(ν−1)λ−(μ−1)ν}+b^2{(μ−1)^2+μ^2+(λ−1)μ+(μ−1)ν−(ν−1)λ}+c^2{(ν−1)^2+ν^2+(μ−1)ν+(ν−1)λ−(λ−1)μ}
これより,
k^2(a^2+b^2+c^2)=a^2{(λ−1)^2+λ^2−2(μ−1)ν+k^2−1}+b^2{(μ−1)^2+μ^2−2(ν−1)λ+k^2−1}+c^2{(ν−1)^2+ν^2−2(λ−1)μ+k^2−1}
a^2{λ^2−λ−(μ−1)ν}+b^2{μ^2−μ−(ν−1)λ}+c^2{ν^2−ν−(λ−1)μ}=0
また,与えられた三角形の各辺を倍率λ,μ,νで伸縮した位置に点をとって作った三角形の面積は,もとの三角形の面積の
μ(λ−1)+ν(μ−1)+λ(ν−1)+1
倍になるから,
k^2=μ(λ−1)+ν(μ−1)+λ(ν−1)+1
ka=6,kb=4,kc=3,(λ−1)a+(μ−1)b+(ν−1)c=5を代入してもこれ以上の一般化は難しい.何か条件が不足しているのだろう.
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