大円(半径R),小円(半径r),中心間距離d
では
s=(1−sin(π/n))/(1+sin(π/n))
とおくと
d^2=r^2−rR(s+1/s)+R^2
が成り立つ.これがシュタイナーの定理に対応するオイラー・フース型定理である.
和算あるいは算額問題では,
s+1/s
がしばしば現れるが,その幾何学的な意味は何だろうか?
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同心円(d=0)の場合に,n個の円で1周するならば,((R+r)/2,0)を中心とした半径(R−r)/2の円が描けることから,
(R+r)/2:(R+r)/2=1:sin(π/n)
R=r(1+sin(π/n))/(1−sin(π/n))
で与えられる.
このとき,小円の半径は最大となるが,その小円・大円比r/Rがsであり,その反転が1/s=R/rであるから,
s+1/s=r/R+R/r
となるが,もともとは以下のように自然に導出された経緯がある.
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最初の2円の直径端と中心がそれぞれ
[−1,0,1],[α,(α+β)/2),β] (α+β>0)
にあると仮定しても一般性は失われない.
メビウス変換
w=(z+α)/(αz+1)
は半径1の円板をそれ自身に移し,[−1,0,1]はそれぞれ[−1,α,1]に移されることがわかる.(円板の中心が円板の中心に移されるわけではない).
このとき,[α,β]が[−r,r]に移されるためには,
(α+a)/(aα+1)=−(β+a)/(aβ+1)
より,aに関する2次方程式
a^2+2a(1+αβ)/(α+β)+1=0 (−1<a<0)
に帰着される.
s=(1−sin(π/n))/(1+sin(π/n))=r
とおくと,
α=−(s+a)/(as+1)
β=(−s+a)/(as−1)
である.
これからaを消去する.第1式より
a=−(s+α)/(αs+1)
第2式に代入すると
β=(s(αs+1)+(s+α))/(s(s+α)+(αs+1))
β(2αs+s^2+1)−α(s^2+1)=2s
2αβs+(β−α)(s^2+1)=2s
ここで,
(α+β)/2=d,(β−α)/2=r
より,
α=d−r,β=d+r
を代入すると
d^2−r^2+r(s+1/s)=1
d^2=r^2−r(s+1/s)+1
s+1/s=2(1+(sin(π/n))^2/(1−(sin(π/n))^2=2(1+(sin(π/n))^2/(cos(π/n))^2
より,s+1/sは簡単な形にはならないが,閉包条件→(s^2+1)/s→s+1/sの流れの中から自然にs+1/sが現れるのである.
もし,d=0ならば
(r−sR)(r−R/s)=0
となるが,r=R/sは大円と小円が逆転するのでr=sR.また,s<1/sより,rはd=0のとき最大値sRをとる.
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[1]s+1/s=2(1+(sin(π/n))^2/(1−(sin(π/n))^2
[2]s+1/s−2=4(sin(π/n))^2/(1−(sin(π/n))^2
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