■初等幾何の楽しみ(その124)

F(z)=∫(0,z)=1/(1-x^4)^(1/2)dx

F(z)の逆関数であるレムニスケートサインsl(u)を求めてみよう.

 実際に1/(1-x^4)^(1/2)を2項展開し,さらに項別積分すると

F(z)=z+1/10z5+1/24z9+5/208z16+・・・

この逆関数のべき級数展開は

sl(u)=u-1/10u5+1/120u9+11/15600u13+・・・

=u(1-1/10u4+1/120u8+・・・)

=ug(u4)

となる.

 2008年に,レムニスケートサイン関数を用いて,レムニスケートのn等分点を計算したが,どうしても5等分点は得られなかった.そこで,

  ∫1/(1-x^4)^(1/2)dx

を,ワイエルシュトラスの標準形

  ∫(∞,0)du/(4u^2-g2u-g3)^(1/2)

の特別な場合として扱ってみたところ,ワイエルシュトラスのペー関数を使って5等分点を得ることができた.加法定理が幾分簡単になったためである.ワイエルシュトラスのペー関数の勝利といってよいだろう.

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 3次曲線:y^2=4x^3−g2x−g3はワイエルシュトラスのペー関数:x=p(u),y=p’(u)によってパラメトライズされます.

 ワイエルシュトラスのペー関数は1階の非線形微分方程式

  (y’)^2=4y^3−g2y−g3

の解ですが,その逆関数は

  F(x)=∫(0,x)dt/(4t^3−g2t−g3)^1/2

となります.

 F’の逆数:y^2=4x^3−g2x−g3をとり,xとyを交換するとx^2=4y^3−g2y−g3yになりますから,このことからFがy^2=4x^3−g2x−g3の逆関数であることがおわかり頂けるでしょうが,これに関係して

  tan(π/4+θ)tan(π/4−θ)=1

となることを確認しておきたいと思います.

(証) tanθ=mとおくと,

  tan(π/4+θ)tan(π/4−θ)

 =(1+m)/(1−m)・(1−m)/(1+m)=1

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