空間充填2^n+2n面体のk次元面数を決定する問題は,2次元・3次元・4次元では既知であるから,高次元空間でも考えるのは自然な問題意識であろう.もちろん,このような問題意識が常に面白い結果を生み出すとは限らないのであるが,いずれにせよ,その形を構成するにはかなりの洞察力がいるようである.今回のコラムでは,主として切頂面の形について考えてみたい.
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[1]n=3のとき
第1象限にある頂点P(x,x/2,0)を考えてみます.鏡映対称変換によって,第1象限内に移る点はその置換3!個(=正六角形)です.胞の位置には全部で8枚の正六角形ができます.また,頂点P(x,x/2,0)と結ばれる第1象限内の点は(x/2,x,0)と(x,0,x/2)の2点です.
また,頂点P(x,x/2,0)の周囲には4点(x,±x/2,0),(x,0,±x/2)からなる正方形ができるので,8+6=14面体となるわけです.直接,点P(x,x/2,0)と結ばれる第1象限以外の点は(x,0,−x/2)です.
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[2]n=4のとき
頂点P(x,x,0,0)の置換は4!/2!2!=6個(=正八面体)あります.胞の位置には全部で16個の正八面体ができます.また,点P(x,x,0,0)と結ばれる第1象限内の点は(x,0,x,0),(x,0,0,x),(0,x,x,0),(0,x,0,x)の4点です.
また,頂点P(x,x,0,0)の周囲には6点(x,±x,0,0),(x,0,±x,0),(x,0,0,±x)からなる正八面体ができるので,16+8=正24胞体となるわけです.直接,点P(x,x,0,0)と結ばれる第1象限以外の点は(x,0,−x,0),(x,0,0,−x)の2点です.
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[3]n=5のとき
頂点P(x,x,x/2,0,0)の置換は5!/2!2!=30個ありますが,直接,点P(x,x,x/2,0,0)と結ばれる第1象限内の点は(x/2,x,x,0,0),(x,x/2,x,0,0),(x,x,0,x/2,0),(x,x,0,0,x/2)の4点です.
また,点P(x,x,x/2,0,0)の周囲には(x,±x,±x/2,0,0)の置換4!/2!・4=48個ありますが,直接,点P(x,x,x/2,0,0)と結ばれる第1象限以外の点は(x,x,0,−x/2,0),(x,x,0,0,−x/2)の2点です.
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[4]n=6のとき
頂点P(x,x,x,0,0,0)の置換は6!/3!3!=20個あり,直接,点P(x,x,x,0,0,0)と結ばれる第1象限内の点は(x,x,0,x,0,0)(x,x,0,0,x,0),(x,x,0,0,0,x),(x,0,x,x,0,0),(x,0,x,0,x,0),(x,0,x,0,0,x),(0,x,x,x,0,0)(0,x,x,0,x,0),(0,x,x,0,0,x)の9点です.
また,点P(x,x,x,0,0,0)の周囲には(x,±x,±x,0,0,0)の置換5!/2!3!・4=40個ありますが,直接,点P(x,x,x,0,0,0)と結ばれる第1象限以外の点は(x,x,0,−x,0,0),
(x,x,0,0,−x,0),(x,x,0,0,0,−x),(x,0,x,−x,0,0),(x,0,x,0,−x,0),(x,0,x,0,0,−x)の6点です.
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[雑感]
空間充填2^n+2n面体の面数を決定する問題はとてつもない苦戦を強いられる難問になることがわかったが,ここでの考察がf2公式の足がかりになるかどうかはいまのところ不明である.
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