■和算と算額(その10)

 (その9)では,n=3の場合の円の直径が整数値となる例題をつくってみた.「外円内に甲乙乙の3円が,丙円を取り巻いて内外接している.

  (甲)

  (丙)

  (乙乙)

外円の直径は30寸,乙円の直径が15寸のとき,丙円の直径を求めよ」という問題になるのだが,少々面白味を欠いたものになった.

 「外円内に甲乙乙の3円が,丙円を取り巻いて内外接している.

  (甲)

  (丙)

  (乙乙)

外円の直径は30寸,甲円の直径は丙円の直径の2倍のとき,丙円の直径を求めよ」ならば和算っぽい問題として成立するではなかろうか?

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 n=3のとき,s+1/s=14.外円の直径は30寸(R=15)であるから,

  d^2=r^2−rR(s+1/s)+R^2=r^2−210r+225

 また,題意より

  R−d−r=4r

  d=15−5r

  d^2=25(3−r)^2=25r^2−150r+225

 これより

  24r^2+60r=0

であるが,r>0より解なし.

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 そこで,「外円内に甲乙乙丙丙の5円が丁円を取り巻いて内外接している.

  (甲)

 (乙丁乙)

  (丙丙)

外円の直径は30寸,甲円の直径は丁円の直径の2倍のとき,丁円の直径を求めよ」について調べてみることにする.

 n=5のとき,s+1/s=22−8√5.外円の直径は30寸(R=15)であるから,

  d^2=r^2−rR(s+1/s)+R^2=r^2−15(22−8√5)r+225

  d^2=r^2+(120√5−330)r+225

 また,題意より

  R−d−r=4r

  d=15−5r

  d^2=25(3−r)^2=25r^2−150r+225

 これより

  24r^2+(180−120√5)r=0

  2r+(15−10√5)=0

  r=(10√5−15)/2=3.68034

 しかし,r=3.68034なので,必要条件

  d^2=r^2+(120√5−330)r+225>0

  d=15−5r<0   (NG)

を満たしていない.

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