【1】シュタイナーの円
メビウス変換
w=(z+a)/(az+1)
したがって,w=0に写されるのはz=−a.z→∞に対する極限は1/a.z→−1/aに対する極限は∞.すなわち,z=−aは0に写り,z=−1/aは∞に写る.ゆえに,w平面の原点を通る直線はz=−aとz=−1/aを通る円の像である(−1<a<0).
円の中心は,x=−(a+1/a)/2上にあるから,
(x+(a+1/a)/2)^2+(y−y0)^2={(a−1/a)/2}^2+y0^2
また,その逆変換は
z=(−w+a)/(aw−1)
であるから,z=0に写されるのはw=aである.w→∞に対する極限は−1/a.w→1/aに対する極限は∞.
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他方,原点を中心とする同心円|w|=kは
|(z+a)/(az+1)|=k
で定義される円の像である.これはz=−aとz=−1/aの2点を極限点とするアポロニウスの円である.つまり,z=−aとz=−1/aの2点からの距離の比が一定な点の軌跡である.
|(z+a)/(az+1)|=|(z+a)|/|(az+1)|=|(z+a)|/|a||(z+1/a)|=k
より,2点
(−a,0),(−1/a,0)
からの距離の比が|a|k:1のアポロニウスの円となる.
(x+a)^2+y^2:(x+1/a)^2+y^2=a^2k^2:1
(x−a(1−k^2)/(1−a^2k^2))^2+y^2={k^2(1−a^2k^2)+a^2(1−k^2)^2}/(1−a^2k^2)^2
こうして,w=0を通る直線は(y軸に平行な直線上に中心をもつ)z=−a,z=−1/aを通る円に,|w|=kはその円に直交する円となる.このような円の族が作る図形を2点−aと−1/aで決まるシュタイナーの円という.
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【2】まとめ
w平面で,円の中心は原点を中心とする半径t=(R+r)/2の円上にある.
w平面で,すべての円の接点は,
(Rcos(2jπ/n+α),Rsin(2πj/n+α))
(rcos(2jπ/n+α),rsin(2πj/n+α))
(tcos(2jπ/n±π/n+α),tsin(2πj/n±π/n+α))
t=√Rr
で与えられるが,円の中心は
t=(R+r)/2
として,
(tcos(2jπ/n+α),tsin(2πj/n+α))
k=(R+r)/2,R=1として
w1=(Rcos(2πj/n+α),Rsin(2πj/n+α))→z1
w2=(rcos(2πj/n+α),rsin(2πj/n+α))→z2
w3=(tcos(2πj/n+α),tsin(2πj/n+α))→z3
を計算する方が(その108)より格段,計算の省力化がはかれることがわかる.
ところで,シュタイナー円鎖の性質として,鎖を構成する円の中心はすべてひとつの楕円上にあるというのがあるが,円の間違いではなかろうか?
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