平行体の体積は
[1]漸化式
[2]行列式(グラミアン)
で与えられる.
[1][2]の2通りに計算することは家計簿つけのシーンに喩えられる.まず行ごとの合計を求めてそれを総計する.次に列ごとの合計を求めてそれを総計する.そして計算が正しければその2つの計算結果は一致するというわけである.すなわち,[1]だけでは計算の正しさを確認することができないのであるが,[2]の計算量は膨大になる.
n次元置換多面体はm=n(n+1)/2組の平行なn次元ベクトル,また,その正軸体版はm=n(n−1)+n=n^2組の平行なn次元ベクトル
V={v1,・・・,vm}
をもつ.したがって,これらの体積は線分のミンコフスキー和
vol(V)=Σ|det(vi1,・・・,vin)|
で与えられる.(m,n)個の項をもつこの公式は,複体を平行体(parallelepiped)に分解してそのミンコフスキー和ととることを意味しているが,次元が高くなるにつれて[2]は大変難しくなるはず・・・と思っていた.ところが,・・・
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先日,阪本ひろむ氏に[2]の計算プログラムを組んでもらったのであるが,Mathematicaには便利な組み込み関数があり,
V={v1,・・・,vm}
の定義さえ済めば,予想以上に速く計算が完了する.
なお,大菱形立方八面体の高次元版ではn^2組の平行なn次元ベクトルがあるが,小菱形立方八面体や切頂立方体,立方八面体の高次元版では平行辺の組数はもっと少なくなる.しかしながら,ゾノトープではないので,
vol(V)=Σ|det(vi1,・・・,vin)|
は適用できないことを注意しておく.
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