■平行体の体積とグラミアン(その29)

【1】3^n−1胞体の計量

 n次元正軸体の頂点の座標は

  (1,0,・・・,0)

  (0,1,・・・,0)

  ・・・・・・・・・・・

  (0,0,・・・,1)

で与えられるから,基本単体の座標はk次元面の重心をとることによって,

  p0(1,0,・・・,0)

  p1(1/2,1/2,0,・・・,0)

  p2(1/3,1/3,1/3,0,・・・,0)

  ・・・・・・・・・・・・・・・・

  pn-1(1/n,1/n,1/n,・・・,1/n)

  pn(0,0,・・・,0)

 3次元の場合,x≧y≧z≧0なる点P(x,y,z)が与えられたとき,ずべての稜線の長さが等しくなるのは,点P(x,y,z)からx=y平面,y=z平面,z=0平面までの距離を等しくとると

  (x−y)/√2=(y−z)/√2=z

 → y=z+√2z

   x=y+√2z=z+2√2z

これらは,x+y+z=1上の点であるから代入すると,

  3z+3√2z=1 → z=1/(3+3√2)

また,点P(x,y,z)のz=0平面に対する鏡映は(x,y,−z)であるから,辺の長さは2z.

 4次元の場合は,点P(x,y,z,w)からx=y平面,y=z平面,z=w平面,w=0平面までの距離を等しくとると

  (x−y)/√2=(y−z)/√2=(z−w)/√2=w

 → z=w+√2w

   y=z+√2w=w+2√2w

   x=y+√2w=w+3√2w

これらは,x+y+z=1上の点であるから代入すると,

  4w+6√2w=1 → w=1/(4+6√2)

また,点P(x,y,z,w)のw=0平面に対する鏡映は(x,y,z,−w)であるから,辺の長さは2w

 一般には,S=n(n−1)/2として

 → nω+S√2ω=1,ω=1/(n+S√2)

   x=(1+(n−1)√2)ω,y=(1+(n−2)√2)ω,z=(1+(n−3)√2)ω,・・・,ω=ω

となることが理解される.

 この点からx=y平面,y=z平面,z=w平面,・・・,w=0平面に下ろした垂線の足は,

  ((x+y)/2,(x+y)/2,z,,・・・,w)

  (x,(y+z)/2,(y+z)/2,,・・・,w)

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  (x,y,z,・・・・・・・・・・・・・・・・,0)

となる.

 また,3次元の場合,x≧y≧z≧0なる点P(x,y,z)が与えられたとき,すべての面までの距離を求めてみよう.

[1](1,1,1)方向の六角形(1象限)

 (x,y,z)→y=z平面での鏡映(y,z,x)→z=x平面での鏡映(x,z,y)→(z,y,x)→(z,x,y)→(t,x,z).

中心は((x+y+z)/3,(x+y+z)/3,(x+y+z)/3).

[2](1,1,0)方向の四角形(2象限にまたがる)

 (x,y,z)→x=y平面での鏡映(y,x,z)→z=0平面での鏡映(y,x,−z)→(x,y,−z).

中心は((x+y)/2,(x+y)/2,0).

[3](1,0,0)方向の八角形(4象限にまたがる)

 (x,y,z)→(x,y,−z)→(x,z,−y)→(x,−z,−y)→(x,−y,−z)→(x,−y,z)→(x,−z,−y)→(x,z,y).

中心は(x,0,0).

 いくつの象限にまたがるかを含め,一般に

(1,1,・・・,1,1,1)→1通り,1象限

(1,1,・・・,1,1,0)→(n,1)通り,2象限

(1,1,・・・,1,0,0)→(n,2)通り,2^2象限

(1,0,・・・,0,0,0)→(n,n−1)通り,2^n-1象限

 一般に,

[a]胞心面までの距離

 胞心は(1/n,1/n,・・・,1/n)→1/√n

[b]辺心面までの距離

 切稜されていなければ辺心は(1/2,1/2,0,・・・,0)であるが,切稜されているので,中心は

  ((x+y)/2,(x+y)/2,0,・・・,0).

[c]頂点面までの距離

 切頂されていなければ頂点は(1,0,・・・,0)であるが,切頂されているので,中心は(x,0,・・・,0).

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【2】体積の検算

 1次元置換多面体は線分,2次元置換多面体は六角形,3次元置換多面体は切頂八面体である.辺の長さを1に規格化すると

  V1=1,V2=3√3/2,V3=8√2

 同様に1次元正軸体版は線分,2次元正軸体版は正八角形,3次元正軸体版は大菱形立方八面体である.辺の長さを1に規格化すると

  Λ1=1,Λ2=2(√2+1),Λ3=22+14√2

 3次元の場合,

  z=1/(3+3√2)

  x=y+√2z=z+2√2z=(1+2√2)/(3+3√2)

として,辺の長さは2z,切頂面間距離は2x.辺の長さを1に規格化すると,切頂面間距離は

  2x/2z=1+2√2

 3次元3^n−1面体は大菱形立方八面体であるが,正八角柱と組み合わせることによって空間充填可能となるから,

  (2+2√2)^3=2Λ3+6Λ2=56+40√2

となって一致する.

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 大菱形立方八面体は切頂八面体+立方体と組み合わせても空間充填可能である.

 3次元の場合,

  z=1/(3+3√2)

  y=z+√2z

  x=y+√2z=z+2√2z

として,辺の長さは2z,四角形までの距離は√2(x+y)/2.辺の長さを1に規格化すると,四角形間距離は

  √2(x+y)/2z=(6+2√2)z/2z=3+√2

 また,

  2x/2z=1+2√2

より

  (1+2√2)(4+√2)^2=2Λ3+2V3+6=50+44√2

となって一致する.

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