■平行体の体積とグラミアン(その23)

 n次元正単体を構成するのに,全体を1次元上げたことが影響しているのだろうか? しばらくの間,このシリーズを中断していたので,まずはおさらいから始めたい.

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【1】正単体の体積

 三角形の面積は底辺かける高さ割る2であるが,三角錐になると底面積かける高さ割る3,四次元の三角錐なら底体積かける高さ割る4,五次元なら底四次元面積かける高さ割る5・・・.

 正単体の体積を求めるにあたって問題となるのは,その高さである.高さを求めるために,n次元正単体の頂点の座標を

  (1,0,・・・,0)

  (0,1,・・・,0)

  ・・・・・・・・・・・

  (0,0,・・・,1)

  (x,x,・・・,x)

とする.稜の長さが√2の正単体であるから,

  x={1−√(1+n)}/n

とすることができる.

 これらの座標が与えられたとき,底面

  (1,0,・・・,0)

  (0,1,・・・,0)

  ・・・・・・・・・・・

  (0,0,・・・,1)

の重心は

  (1/n,1/n,・・・,1/n)

であるから,頂点

  (x,x,・・・,x)

との距離(高さ)Hnは,

  Hn=√(1+1/n)

で与えられることになる.

 したがって,漸化式

  Vn=Vn-1×Hn/n

より,

  Vn=√(1+n)/n!

を得ることができる.

 V2=√3/2,V3=1/3,・・・

となるが,V2,V3はピタゴラスの定理を使えば中高生でも簡単に確かめることができるであろう.

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【2】規格化

 辺の長さを1に規格化すると,高さは

  Hn=√(1+1/n)/√2

で与えられる.(n+1)次元の場合,新しく加わった軸上の正の側に1辺の長さが1となるように新しい頂点を取り,中心が原点にくるように全体を平行移動させる.

  Hn・n/(n+1)=√(n/2(n+1))

  −Hn・1/(n+1)=−√(1/2n(n+1))

より,具体的な座標値は

  (−1/2, −√(1/12),−√(1/24),−√(1/40),・・・,−√(1/2n(n+1)))

  (+1/2, −√(1/12),−√(1/24),−√(1/40),・・・,−√(1/2n(n+1)))

  (0,√(1/3),−√(1/24),−√(1/40),・・・,−√(1/2n(n+1)))

  (0,0,√(3/8),−√(1/40),・・・,−√(1/2n(n+1)))

  (0,0,0,√(2/5),・・・,−√(1/2n(n+1)))

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  (0,0,0,0,・・・,+√(n/2(n+1)))

となる.

 たとえば,2次元正単体の3頂点は

  (−1/2,−√(1/12))

  (+1/2,−√(1/12))

  (0,√(1/3))

3次元正単体の4頂点は

  (−1/2,−√(1/12),−√(1/24))

  (+1/2,−√(1/12),−√(1/24))

  (0,√(1/3),−√(1/24))

  (0,0,√(3/8))

 また,k境界要素の中心座標は,選び出したk+1個の頂点の重心に等しく,たとえば,3次元正単体では

  P3(0,0,0)

  P2(0,0,−√(1/24))

  P1(0,−√(1/12),−√(1/24))

  P0(−1/2,−√(1/12),−√(1/24))

になる.

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