数直線上に0<x≦yなる点x,点yをとり,[x,y]を直径とする円を描く.その円の中心が(x+y)/2,すなわち,算術平均である.
次に,0を極とする円の接線を描くと,接線の長さは√xyすなわち幾何平均,接点から数直線に下ろした垂線の足は2xy/(x+y)すなわち調和平均となる.
また,0から数直線に垂直な円の直径の端点までの距離が
√(x^2+y^2)/2 (ユークリッド平均)
である.
一目見て
x<2xy/(x+y)<√xy<(x+y)/2<√(x^2+y^2)/2<y
であることがわかる.
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【1】デカルトのメソラボスコンパス
各種平均の幾何学的構成を示したが,頂角θのタケノコ図において,数直線から他方の数直線に垂線を下ろす.その垂線の足からもとの数直線に垂線を下ろす.交互にこの操作を繰り返す.
2本の数直線は0を中心に開閉できるものとすると,2本の数直線が広がるとき,各垂線の足はそれぞれ
円 :x^2+y^2=a^2
4次曲線 :x^4=a^2(x^2+y^2)
8次曲線 :x^8=a^2(x^2+y^2)^3
12次曲線:x^12=a^2(x^2+y^2)^5
4n次曲線:x^4n=a^2(x^2+y^2)^2n-1
を描く.
この作図器はデカルト自身によって「メソラボスコンパス」と呼ばれた.その語源は幾何平均(比例中項)をとるという意味であるが,メソラボスコンパスは比例中項をとると同時に,高次曲線の作図器でもある.
また,この作図器は転調が自由な平均律音階に必要な2の12乗根を求める方法として応用された.0から垂線の足までの距離は
1=x^0,x,x^2,・・・,x^11,x^2=2
となるので,x^12=2すればx=2^1/12を得ることができる.
ともあれ,タケノコ図にはデカルトのメソラボスコンパスというれっきとした名前がついていて,数学なしに音楽は成り立たなかったのである.
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