■初等幾何の楽しみ(その100)

 シュタイナーの定理が使いにくいのは,それに対応するオイラー・フース型定理が与えられていないためである.今回のコラムでは

  大円(半径1),小円(半径r),中心間距離d

として,シュタイナーの定理に対応するオイラー・フース型定理を導出する.

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 メビウス変換

  w=(z+a)/(az+1)

の逆変換は

  z=(−w+a)/(aw−1)

である.

  s=(1−sin(π/n))/(1+sin(π/n))

とおくと,

  α=−(s+a)/(as+1)

  β=(−s+a)/(as−1)

である.

 これからsを消去する.第1式より

  a=−(s+α)/(αs+1)

第2式に代入すると

  β=(s(αs+1)+(s+α))/(s(s+α)+(αs+1))

  β(2αs+s^2+1)−α(s^2+1)=2s

  2αβs+(β−α)(s^2+1)=2s

 ここで,

  (α+β)/2=d,(β−α)/2=r

より,

  α=d−r,β=d+r

を代入すると

  d^2−r^2+r(s+1/s)=1

  d^2=r^2−r(s+1/s)+1

これがシュタイナーの定理に対応するオイラー・フース型定理である.

 もし,d=0ならば

  (r−s)(r−1/s)=0

となるが,r=1/sは大円と小円が逆転するのでr=s.また,s<1/sより,rはd=0のとき最大値sをとる.

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