■初等幾何の楽しみ(その76)

  F(x)=∫1/(1-x^5)^(1/2)dx

の2等分点については何の手がかりも得られていない.ところで,周長積分

  F(x)=∫1/(1-x^k)^(1/2)dx

  f(x)=1/(1-x^k)^(1/2)  

は,超幾何関数ではどのように表されるのであろうか?

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  F'(x)=f(x)=(1-x^k)^(-1/2)=1+(-1/2)/1!(-x^k)+(-1/2)(-3/2)/2!(-x^k)^2+(-1/2)(-3/2)(-5/2)/3!(-x^k)^3+・・・

 この級数の項比は

  an+1xn+1/anxn=-(2n+1)/2*(-x^k)/(n+1)=(n+1/2)*(x^k)/(n+1)

であるから,

  f(x)=1F0(1/2;x^k)=1+1/2/1!x^k+1/2・3/2/2!x^2k+1/2・3/2・5/2/3!x^3k+・・・

項別積分すると

  ∫f(x)dx=x+1/2/1!(k+1)x^(k+1)+1/2・3/2/2!(2k+1)x^(2k+1)+1/2・3/2・5/2/3!(3k+1)x^(3k+1)+・・・

=x{1+1/2/1!(k+1)x^k+1/2・3/2/2!(2k+1)x^2k+1/2・3/2・5/2/3!(3k+1)x^3k+・・・}

 {・・・}について,この級数の項比は

  an+1xn+1/anxn=(n+1/2)(nk+1)/((n+1)k+1)*(x^k)/(n+1)

=(n+1/2)(n+1/k)/(n+1+1/k)*(x^k)/(n+1)

であるから,

  2F1(1/2,1/k,1+1/k:x^k)

したがって

  F(x)=∫1/(1-x^k)^(1/2)dx=x2F1(1/2,1/k,1+1/k:x^k)

が成り立つ.

 たとえば,k=5では

  F(x)=∫1/(1-x^5)^(1/2)dx=x2F1(1/2,1/5,6/5:x^5)

となるのである.しかし,Mathematicaでもこの逆関数は用意されておらず,2等分の対象ではないようだ.

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[補]超幾何関数の微分について

  d/dx1F0(a;x)=a1F0(a+1;x)

が成り立つ.したがって,

  d/dx1F0(a;x^k)=akx^(k-1)1F0(a+1;x^k)

  d/dx1F0(a;x^k)/akx^(k-1)=1F0(a+1;x^k)

  d/dx1F0(a-1;x^k)/(a-1)kx^(k-1)=1F0(a;x^k)

 なお,畏友・阪本ひろむ氏によると,Mathematicaでは,

  ∫(0,1){logt}^n/√(1-t^2)dt

とおいたとき,n≦14では対数関数とゼータ関数で表されるのに,n>14では超幾何関数で表される.それにしても,超幾何関数はどのような条件のもとで,他の初等関数・特殊関数に変換される仕組みになっているのであろうか?

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