■初等幾何の楽しみ(その70)

 周長が

  ∫1/(1-x^n)^(1/2)dx

で表される曲線は

  r^(n/2)=cos(n/2・θ)

である.

 この曲線はバラ曲線あるいは正葉曲線の変形版になっていて,円(n=2)もレムニスケート(n=4)もこの曲線族に属する.

 本来のバラ曲線あるいは正葉曲線は

  r=sin(nθ),r=cos(nθ)

と定義される.1枚の花びらに対応するθの定義域は[0,π/n].

 花びらの数mはnが奇数のときm=n枚,nが偶数のときm=2n枚となるが,これはm(n−1)/nが2の倍数となる最小の正の整数mである.nが分数の場合も同様で,たとえば,r=sin(4θ/3)では

  m(n−1)/n=m/4 → m=8

r=sin(θ/2)では

  m(n−1)/n=−m → m=2

r=sin(θ/3)では

  m(n−1)/n=−2m → m=1

となる.

 面積は

  1/2∫r^2dθ=1/2∫sin^2nθdθ=1/4∫(1−cos2nθ)dθ=π/4n

それでは,この曲線の周長はどのように表されるのだろうか?

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[1]正葉線

  r=sin(nθ)

  dr/dθ=ncos(nθ)

  {1+(rdθ/dr)^2}^(1/2)={1+(r/ncos(nθ))^2}^1/2={1+r^2/n^2(1−r^2)}^1/2→n=1のとき,円積分

[2]副葉線

  r^2=sin(nθ)

  2rdr/dθ=ncos(nθ)

  {1+(rdθ/dr)^2}^(1/2)={1+(2r^2/ncos(nθ))^2}^1/2={1+(2/n)^2r^4/(1−r^4)}^1/2→n=2のとき,レムニスケート積分

[3]変形正葉線

  r^n=sin(nθ)

  nr^n-1dr/dθ=ncos(nθ)

  {1+(rdθ/dr)^2}^(1/2)={1+(r^n/cos(nθ))^2}^1/2={1+r^2n/(1−r^2n)}^1/2={1/(1−r^2n)}^1/2

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【雑感】

 たとえば,

  ∫(0,x)xdx/(1−x^4)^1/2

を考えると

  ∫(0,x)xdx/(1−x^4)^1/2=1/2arcsinx^2

のように初等関数で表されるので,擬楕円積分と呼ばれる.

 当初はこの類に帰着されることを期待したのであるが,そうはならなかった.

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