1784年,ジェームズ・ワットはニューコメン型蒸気機関の問題点・改良点を見抜き,シリンダーを2つもったワット式蒸気機関を考案しました.
ワットのリンク装置(リンケージ)と呼ばれている近似直線機構は,2つのピン止めされた固定関節は半径Rが同じ2つの異なる円の中心(R,−b),(−R,b)であり,固定関節間の鉛直方向の距離は2bで中央のバーの長さと同じです.また,2つの自由関節はそれぞれの円の円周上を制限を受けながら動きます.
このとき,中央のバー(長さ2b)の中点は近似直線部分をもつ8の字型曲線を描きます.
左の回転軸の位相をθ→(Rcosθ−R,Rsinθ+b)
右の回転軸の位相をφ→(Rcosφ+R,Rsinφ−b)
とおきますが,回転軸間の距離と中央のバーの長さが異なることから,交叉平行四辺形(contraparallelogram)の場合よりも計算はかなり複雑になります.
そこで(Rcosθ−R,Rsinθ)と(R,−b)を結ぶ直線とx軸のなす角度をψ,(Rcosθ−R,Rsinθ)と(R,−b)を結ぶ直線と自由関節のなす角度αを余弦定理から求めて,
φ=ψ±α
として,φを求めます.
以下の図では,2b=Rとして配置しています.
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