■ベルヌーイのレムニスケート

 レムニスケートといえば,一般にベルヌーイのレムニスケートを指す場合が多いが,もともと8の字曲線を表す用語であり,Geronoのレムニスケート,Boothのレムニスケート,Montferrierのレムニスケート,Slueseのレムニスケートなど多くのレムニスケートがあるそうだ.

 ベルヌーイのレムニスケート:

  直交座標:(x^2+y^2)^2=(x^2−y^2)

  極座標 :r^2 =cos2θ

は数学史上重要な意義を果たした4次曲線であるが,三角関数を用いて

  x=cosθ/(1+sin^2θ)

  y=sinθcosθ/(1+sin^2θ)

ここで,

sinθ=(1−t^2)/(1+t^2)

cosθ=2t/(1+t^2)

とおくと,

  x=t(1+t^2)/(1+t^4 )

  y=t(1−t^2)/(1+t^4 )

のようにパラメトライズされる.

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【1】ベルヌーイのレムニスケートのn等分点

 ベルヌーイのレムニスケートの方程式は

  (x^2+y^2)^2=x^2−y^2

である.

 第1象限にある部分だけを考えることにして,この弧は原点O(0,0)を始点,P(1,0)を終点としてパラメータz(0≦z≦1)を用いれば,

  x^2=1/2(z^2+z^4),y^2=1/2(z^2−z^4)

と表せる.

 この線素は

  ds=(dx^2+dy^2)^1/2=dz/(1−z^4)^1/2

で与えられ,倍角公式

  z→2z(1−z^4)^1/2/(1+z^4)

はdsを2dsに変える.

  2z(1−z^4)^1/2/(1+z^4)=1

と置くことによって

  z^2=√2−1

が得られる.以上より,

          z    (x,y)

  n=2 → 0.643594 → (0.541196,0.348311)

  n=3 → 0.435421 → (0.335810,0.277170)

  n=4 → 0.327379 → (0.243582,0.218735)

  n=6 → 0.218456 → (0.158115,0.150741)

  n=8 → 0.163865 → (0.117415,0.114304)

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【2】リンク装置の機構学

 複数の棒を互いに結合してできる連接棒を「リンク装置」と呼びます.連接棒の一点を直線や曲線に沿って動かすとき,複雑な変化のある曲線を描くことができます.リンク装置の用途は多方面にわたり,角の3等分問題や立方体倍積問題を解くのにも使われます.

 パンタグラフのようなリンク装置利用すると拡大・縮小が可能になりますが,たとえば,円錐曲線をすべて描けないかという発想も生まれてきます.

  [参]礒田正美編「曲線の事典」,共立出版

によれば,リンク装置の一点を直線に沿って動かすとき,与えられた直線が3本ないし4本の場合に円錐曲線を作図できるそうです.

 ユークリッドが考察していたとされ,アポロニウスが取り上げ,パップスが成果をあげた難題に三線問題,四線問題があります.

a)三線問題:ひとつの直線への距離の平方が,ほかの2直線への距離の積に対して与えられた比をもつ点の軌跡を求める問題

b)四線問題:1組の直線への距離の積が,ほかの2直線への距離の積に対して与えられた比をもつ点の軌跡を求める問題

 このような点の軌跡は円錐曲線となります.デカルトはn本の直線の場合に一般化し,完全な解答を与えました.すなわち,3本ないし4本の直線が与えられたときには2次になり,5本ないし6本(五線問題,六線問題)では3次になり,直線が2本加わるたびに次数が1次増加します.

 2次曲線のみならず高次曲線作図器も製作されていて,たとえば,ベルヌーイのレムニスケートは単純なリンク装置を使って描くことができます.これはワットの蒸気機関に応用されています.また,ポースリエの反転器は円運動を直線運動に,直線運動を円運動に変換する機構で,リンク装置の用途は多方面にわたっています.

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【3】レムニスケートのリンク装置

 2つのピン止めされた固定関節は半径Rが同じ2つの異なる円の中心(a,0),(−a,0)であり,また,2つの自由関節はそれぞれの円の円周上を自由に動きます.2つのピン止めされた固定関節間距離は2aで中央のバーの長さと同じ,Rはその1/√2倍で,R=a√2です.

 このとき,中央のバー(長さ2a)の中点は8の字型曲線

  r^2=2a^2cos2t

を描きます.

 ところで,

  左の回転軸の位相をθ→(Rcosθ−a,Rsinθ)

  右の回転軸の位相をφ→(Rcosφ+a,Rsinφ)

  回転軸間の距離→2a

となることから,

  (Rcosφ−Rcosθ+2a)^2+(Rsinφ−Rsinθ)^2=(2a)^2

  cos(φ−θ)=√2(cosφ−cosθ)+1

  1−2sin^2(φ−θ)/2=−√2sin(φ+θ)/2sin(φ−θ)/2+1

  √2sin(φ−θ)/2=sin(φ+θ)/2

となって,φとθの非線形関係がわかるだけです.

 そこで,(Rcosθ−a,Rsinθ)と(a,0)を結ぶ直線とx軸とのなす角度をαとして,交叉平行四辺形であることより

  0<θ<π→ φ=θ+2α

  π<θ<2π→φ=θ−2α

として,φを求めます.

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