Σ(1,n)|P1Pj|^2m=(2m,m)n
は正しい公式であるだが,n>mであることが必要となる.したがって,6乗和公式,8乗和公式は正三角形に対しては成り立たない.8乗和公式は正方形に対しては成り立たない.
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【1】正三角形の場合
n個の頂点を(P1,・・・,Pn)とする.三角形の場合,P1P2=P1P3=√3,Σ(1,n))|P1Pj|^2=2n=6
頂点P1の対蹠点をP0とし,ここから3頂点P1,P2,P3までの距離の2乗和,4乗和,6乗和,8乗和,・・を考えてみよう.
|P0P1|^2=4
|P0P2|^2=|P0P1|^2−|P0P2|^2=1
|P0P3|^2=|P0P1|^2−|P0P3|^2=1
Σ(0,n))|P0Pj|^2=6=2n=6
|P0P1|^4=16
|P0P2|^4=(|P0P1|^2−|P0P2|^2)^2=1
|P0P3|^4=(|P0P1|^2−|P0P3|^2)^2=1
Σ(0,n))|P0Pj|^4=18=6n=18
|P0P1|^6=64
|P0P2|^6=(|P0P1|^2−|P0P2|^2)^3=1
|P0P3|^6=(|P0P1|^2−|P0P3|^2)^3=1
Σ(0,n))|P0Pj|^6=66>20n=60>Σ(1,n))|P1Pj|^6=54
|P0P1|^8=256
|P0P2|^8=(|P0P1|^2−|P0P2|^2)^4=1
|P0P3|^8=(|P0P1|^2−|P0P3|^2)^4=1
Σ(0,n))|P0Pj|^8=258>70n=210>Σ(1,n))|P1Pj|^8=162
ここで,面白い事実に気づく.
(Σ(1,n))|P1Pj|^2m+Σ(0,n))|P0Pj|^2m)/2=(2m,m)n
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【2】正方形の場合
n個の頂点を(P1,・・・,Pn)とする.正方形の場合,P1P2=P1P4=√2,P1P3=2,Σ(1,n))|P1Pj|^2=2n=6
頂点P1とP2の円周上の中間点をP0(1/√2,1/√2)とし,ここから4頂点P1,P2,P3,P4までの距離の2乗和,4乗和,6乗和,8乗和,・・を考えてみる.
以下,正五角形,正六角形の場合も同様である.
S0=(2m,m)n
S1=Σ(1,n))|P1Pj|^2m
S2=Σ(0,n))|P0Pj|^2m
(S1+S2)/2=S0は常に成り立つのだろうか?
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【3】正二角形
S1 S2 S0
[1]二乗和 4 4 4
[2]四乗和 16 8 12 ○
[3]六乗和 64 16 40 ○
[4]八乗和 256 32 140 ×
[5]十乗和 1024 64 504 ×
[6]十二乗和 4096 128 1848 ×
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【4】正三角形
S1 S2 S0
[1]二乗和 6 6 6
[2]四乗和 18 18 18
[3]六乗和 54 66 60 ○
[4]八乗和 162 258 210 ○
[5]十乗和 486 1026 756 ○
[6]十二乗和 1458 4098 2772 ×
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【5】正方形
S1 S2 S0
[1]二乗和 8 8 8
[2]四乗和 24 24 24
[3]六乗和 80 80 80
[4]八乗和 288 272 280 ○
[5]十乗和 1088 928 1008 ○
[6]十二乗和 4224 3168 3696 ○
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【6】正五角形
S1 S2 S0
[1]二乗和 10 10 10
[2]四乗和 30 30 30
[3]六乗和 100 100 100
[4]八乗和 350 350 350
[5]十乗和 1250 1270 1260 ○
[6]十二乗和 4500 4740 4620 ○
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【7】正六角形
S1 S2 S0
[1]二乗和 12 12 12
[2]四乗和 36 36 36
[3]六乗和 120 120 120
[4]八乗和 420 420 420
[5]十乗和 1512 1512 1512
[6]十二乗和 5556 5532 5544 ○
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【8】まとめ
(S1+S2)/2=S0が常に成り立つかといえばそうではなく,いわくいいがたしという結果になってしまった.4n乗和を越えると成り立たなくなるのかもしれない.
また,この結果からいえることは,単位円に内接する正n角形(P1,・・・,Pn)があるとき,単位円上の動点Qに対しても,
Σ(1,n)|QPj|^2m=(2m,m)n (n>m)
となるということだろう.
さらにそれを拡張すると,
[1]三角形QPjPj+1の面積をSjとすると
Σ(1,m)Sj^2=一定
である.
[2]P(x,y)を次数n未満の多項式とするとき,単位円上の平均と内接正n角形の頂点での平均は等しい.
[3]P(x,y,z)を次数n未満の多項式とするとき,単位球上の平均と内接正多面体(頂点数n)の頂点での平均は等しい.
「良い配置」とは任意の次元の半径1の球面上の有限個の点集合Kで,f(x)が2次式以下の多項式のとき,積分がKの点上の値の平均値に等しい
∫(S)f(x)dσ=Σf(P)/#(K)
dσは∫(S)dσ=1と標準化した面積分
が成立する集合です.
f(x)として,特定の頂点からの距離の2乗−定数(全体の積分が0になるように定数を選ぶ)とした場合,それを各頂点について加えた形が
SS=v^2
に相当します.
正多面体の頂点の集合が「よい配置」であることはかなり以前より知られていますが,正多面体でない準正多面体でも3次元の立方八面体や12面・20面体など,この性質をもつ多面体は多数あります.
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