[定理]単位円に内接する正n角形のひとつの頂点から他のn−1個の頂点までの距離の平方和は2nに等しい
は任意の次元で成り立つ定理であるが,
[定理]単位円に内接する正n角形のひとつの頂点から他のn−1個の頂点までの距離の4乗和は6nに等しい
[定理]単位円に内接する正n角形のひとつの頂点から他のn−1個の頂点までの距離の6乗和は20nに等しい
[定理]単位円に内接する正n角形のひとつの頂点から他のn−1個の頂点までの距離の8乗和は70nに等しい
は2次元のみで成り立つ定理である.
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[1]相加平均・相乗平均・調和平均不等式より,
Σd/(n−1)≧(Πd)^1/(n-1)≧(n−1)/Σ1/d
Σd^2/(n−1)≧(Πd^2)^1/(n-1)=(Πd)^2/(n-1)≧(n−1)/Σ1/d^2
Σd^3/(n−1)≧(Πd^3)^1/(n-1)=(Πd)^3/(n-1)≧(n−1)/Σ1/d^3
Σd^4/(n−1)≧(Πd^4)^1/(n-1)=(Πd)^4/(n-1)≧(n−1)/Σ1/d^4
[2]コーシー・シュワルツの不等式(u・v≦|u||v|)を適用すれば,
(Σd)≦(n−1)Σd^2=2n(n−1)<2n^2
(Σd^2)^2=4n^2≦(n−1)Σd^4=6n(n−1)<6n^2
(Σd^3)^2≦(n−1)Σd^6=20n(n−1)<20n^2
(Σd^4)^2=36n^2≦(n−1)Σd^8=70n(n−1)<70n^2
(Σd^m)^2=36n^2≦(n−1)Σd^2m=(2m,m)n(n−1)<(2m,m)n^2
が成り立つ.
[3]チェビシェフの不等式においてb=1/aとおくと
(Σa)・(Σ1/a)≧n^2
となるから,
(Σd)^2・(Σ1/d)^2≧(n−1)^4
(Σd^2)^2・(Σ1/d^2)^2≧(n−1)^4
(Σd^3)^2・(Σ1/d^3)^2≧(n−1)^4
(Σd^4)^2・(Σ1/d^4)^2≧(n−1)^4
[4]3次元以上の空間では,Σd^2を基準としてまとめることになるが,場合によってはd次元多面体が一挙に2次元平面に退化し多角形になることもあるだろう.その場合,Σd^2を基準とする代わりに,
Σd^4,Σd^6,Σd^8,・・・
を基準としてまとめることができる.
(Σd)^2≦(n−1)Σd^2=2n(n−1)
(Σd^3)^2≦(n−1)Σd^6=20n(n−1)
(Σd^5)^2≦(n−1)Σd^10=252n(n−1)
次に,
(Σd)・(Σ1/d)≧(n−1)^2
を用いれば,
(Σd^3)^2・(Σ1/d^3)^2≧(n−1)^4
(Σd^5)^2・(Σ1/d^5)^2≧(n−1)^4
も得られる.
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以下では,正多面体が半径1の球に内接しているとき,すべての辺と対角線の長さのd乗積(d=3,5)を求めることにする.結論を先にいうと,つねに整数とは限らないが,下記の不等式をみたす.
【1】(Σd^3)^2≦(n−1)Σd^6=20n(n−1)
[1]正四面体 :Q=13.0639<15.4919
[2]立方体 :Q=25.6824<33.4664
[3]正八面体 :Q=19.3137<24.4949
[4]正十二面体 :Q=64.0214<87.178
[5]正二十面体 :Q=38.4338<51.3809
[6]正5胞体 :Q=15.8114<20
[7]正8胞体 :Q=49.7552<69.282
[8]正16胞体 :Q=24.9706<33.4664
[9]正24胞体 :Q=74.5398<105.071
[10]正600胞体:Q=372.52<534.416
[11]正120胞体:Q=1862.57<2681.04
【2】(Σd^5)^2≦(n−1)Σd^10=252n(n−1)
[1]正四面体 :Q=34.8372<54.9909
[2]立方体 :Q=72.9956<118.794
[3]正八面体 :Q=54.6472<86.9483
[4]正十二面体 :Q=182.844<309.451
[5]正二十面体 :Q=109.691<182.384
[6]正5胞体 :Q=39.5285<70.993
[7]正8胞体 :Q=132.295<245.927
[8]正16胞体 :Q=65.9411<118.794
[9]正24胞体 :Q=198.649<372.966
[10]正600胞体:Q=993.368<1896.99
[11]正120胞体:Q=4966.85<9516.76
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