[Q]正n角形が半径1の円に内接している.ひとつの頂点を起点とする辺と対角線の長さの4乗和を求めよ.
[A]n=3のときは対角線をもたないので,辺の長さ√3→4乗和=2(√3)^4=18.n=4のとき,この単位円に内接するのは正方形であるから,可能な長さは辺の長さ√2と対角線の長さ2である→4乗和=2(√2)^4+2^4=24.n=5のときは簡単ではないので省略するが,n=6のとき,辺の長さ1と対角線の長さ√3と2である→4乗和=2・1^4+2(√3)^4+2^4=36.
一般に対角線や辺の長さは無理数になる.したがって,長さの奇数乗和も無理数になる.しかし,ここで求めようとしているのは長さの4乗和であって,これまでのところ,答えはつねに整数で6nであることが示唆される.
特別な場合としてn=2のときは,正n角形は直径に退化する.直径の長さ2であるから,4乗和=2^4=16となって,6n=12ではない.
===================================
[Q]正n角形が半径1の円に内接している.ひとつの頂点を起点とする辺と対角線の長さの6乗和を求めよ.
[A]n=3のときは対角線をもたないので,辺の長さ√3→6乗和=2(√3)^6=54.n=4のとき,この単位円に内接するのは正方形であるから,可能な長さは辺の長さ√2と対角線の長さ2である→6乗和=2(√2)^6+2^6=80.n=5のときは簡単ではないので省略するが,n=6のとき,辺の長さ1と対角線の長さ√3と2である→6乗和=2・1^6+2(√3)^6+2^6=120.
nのパリティー(奇数か偶数か)によって違いを生ずるが,長さの6乗和は,これまでのところ,答えはつねに整数で≦20nであることが示唆される.
特別な場合としてn=2のときは,正n角形は直径に退化する.直径の長さ2であるから,6乗和=2^6=64>20n=40.
===================================
以下では,正多面体が半径1の球に内接しているとき,すべての辺と対角線の長さのd乗積(d=3〜6)を求めることにする.結論を先にいうと,つねに整数とは限らないが,4乗和<6n,6乗和<20nの不等式をみたす.
【1】d=3
[1]正四面体 :Q=13.0639
[2]立方体 :Q=25.6824
[3]正八面体 :Q=19.3137
[4]正十二面体 :Q=64.0214
[5]正二十面体 :Q=38.4338
[6]正5胞体 :Q=15.8114
[7]正8胞体 :Q=49.7552
[8]正16胞体 :Q=24.9706
[9]正24胞体 :Q=74.5398
[10]正600胞体:Q=372.52
[11]正120胞体:Q=1862.57
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【2】d=4
[1]正四面体 :Q=21.3333<6v=24
[2]立方体 :Q=42.6667<6v=48
[3]正八面体 :Q=32<6v=36
[4]正十二面体 :Q=106.667<6v=120
[5]正二十面体 :Q=64<6v=72
[6]正5胞体 :Q=25<6v=30
[7]正8胞体 :Q=80<6v=96
[8]正16胞体 :Q=40<6v=48
[9]正24胞体 :Q=120<6v=144
[10]正600胞体:Q=600<6v=720
[11]正120胞体:Q=3000<6v=3600
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【3】d=5
[1]正四面体 :Q=34.8372
[2]立方体 :Q=72.9956
[3]正八面体 :Q=54.6472
[4]正十二面体 :Q=182.844
[5]正二十面体 :Q=109.691
[6]正5胞体 :Q=39.5285
[7]正8胞体 :Q=132.295
[8]正16胞体 :Q=65.9411
[9]正24胞体 :Q=198.649
[10]正600胞体:Q=993.368
[11]正120胞体:Q=4966.85
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【4】d=6
[1]正四面体 :Q=56.8889<20v=80
[2]立方体 :Q=128<20v=160
[3]正八面体 :Q=96<20v=120
[4]正十二面体 :Q=320<20v=400
[5]正二十面体 :Q=192<20v=240
[6]正5胞体 :Q=62.5<20v=100
[7]正8胞体 :Q=224<20v=320
[8]正16胞体 :Q=112<20v=160
[9]正24胞体 :Q=336<20v=480
[10]正600胞体:Q=1680<20v=2400
[11]正120胞体:Q=8400<20v=12000
===================================
【5】雑感
「正n角形が半径1の円に内接している.ひとつの頂点からでるすべての辺と対角線の長さの積は頂点数に等しい.」は2次元でしか成り立たなかった.証明は後回しにするが,ひとつの頂点を起点とする辺と対角線の長さの2m乗和も2次元でしか成り立たないものと思われる.
それに対して,公式:Σdi=n^2の面白いところは,2次元図形だけでなくすべての次元で通用することである.すなわち,すべての次元において,単位球に内接する正多胞体のすべての辺と対角線の長さの平方和はn^2で与えられることになる.無理数でなく整数! この美とエレガンス!
===================================