ガウスの円周等分理論「コンパスと定規でn等分できるのは,2^2^qi+1の形をした相異なる素数piにより2^mΠpiと書かれる場合である」は円関数ばかりでなく他の超越関数,たとえば,
u=∫(0,x)f(t)=1/(1-t^4)^(1/2)dt
にも応用できる.(その40)を補足しておきたい.
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【1】レムニスケートのn等分点
レムニスケートサインはレムニスケートr^2=cos2θ(あるいはr^2=sin2θ)の弧長を表す積分の逆関数
∫(0,x)1/(1-t^4)^(1/2)dt
として定義される.
ω=∫(0,1)1/(1-t^4)^(1/2)dt
はレムニスケート全体の長さの1/4である.
ファニャーノはレムニスケートの和公式
z={x(1−y^4)^1/2+y(1−x^4)^1/2}/(1+x^2y^2)
を得て,レムニスケートを2,3,5等分する点の座標を求める代数的な計算公式を見いだした.
レムニスケートの線素は
ds=(dx^2+dy^2)^1/2=dz/(1−z^4)^1/2
で与えられ,倍角公式
z→2z(1−z^4)^1/2/(1+z^4)
はdsを2dsに変える.
2z(1−z^4)^1/2/(1+z^4)=1
と置くことによって
z^2=√2−1
が得られる.実際に計算してみると,レムニスケート弧長の2等分点は
sl(u/2)=(-1+√2)^1/2=0.643594
3等分点は
sl(u/3)=1/2(1-(√2)(3)^1/4+√3)=0.435421
で示される.
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【2】極座標から直交座標へ
ベルヌーイのレムニスケートの方程式は
(x^2+y^2)^2=x^2−y^2
である.
第1象限にある部分だけを考えることにして,この弧は原点O(0,0)を始点,P(1,0)を終点としてパラメータz(0≦z≦1)を用いれば,
x^2=1/2(z^2+z^4),y^2=1/2(z^2−z^4)
と表せる.
ここで注意しておきたいのはzは極座標(r,θ)における動径rであるということである.レムニスケートの場合,
r^2=cos2θ=2cos^2θ−1=1/2sin^2θ
より,
cosθ=((1+r^2)/2)^1/2
sinθ=((1−r^2)/2)^1/2
したがって,
x=rcosθ=((r^2+r^4)/2)^1/2
y=rsinθ=((r^2−r^4)/2)^1/2
あるいは
z^2=x^2+y^2
z^4=x^2−y^2
より
x^2=1/2(z^2+z^4),y^2=1/2(z^2−z^4)
したがって,レムニスケートの2等分点を求める際,
sl(2z)=2z(1−z^4)^1/2/(1+z^4)=1
とおいてzを求めたあと,
x^2=1/2(z^2+z^4),y^2=1/2(z^2−z^4)
により,2等分点(x,y)を求めなければならないことになる.
z (x,y)
n=2 → 0.643594 → (0.541196,0.348311)
n=3 → 0.435421 → (0.335810,0.277170)
n=4 → 0.327379 → (0.243582,0.218735)
n=6 → 0.218456 → (0.158115,0.150741)
n=8 → 0.163865 → (0.117415,0.114304)
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