■初等幾何の楽しみ(その53)

 ガウスの円周等分理論「コンパスと定規でn等分できるのは,2^2^qi+1の形をした相異なる素数piにより2^mΠpiと書かれる場合である」は円関数ばかりでなく他の超越関数,たとえば,

  u=∫(0,x)f(t)=1/(1-t^4)^(1/2)dt

にも応用できる.(その40)を補足しておきたい.

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【1】レムニスケートのn等分点

 レムニスケートサインはレムニスケートr^2=cos2θ(あるいはr^2=sin2θ)の弧長を表す積分の逆関数

  ∫(0,x)1/(1-t^4)^(1/2)dt

として定義される.

  ω=∫(0,1)1/(1-t^4)^(1/2)dt

はレムニスケート全体の長さの1/4である.

 ファニャーノはレムニスケートの和公式

  z={x(1−y^4)^1/2+y(1−x^4)^1/2}/(1+x^2y^2)

を得て,レムニスケートを2,3,5等分する点の座標を求める代数的な計算公式を見いだした.

 レムニスケートの線素は

  ds=(dx^2+dy^2)^1/2=dz/(1−z^4)^1/2

で与えられ,倍角公式

  z→2z(1−z^4)^1/2/(1+z^4)

はdsを2dsに変える.

  2z(1−z^4)^1/2/(1+z^4)=1

と置くことによって

  z^2=√2−1

が得られる.実際に計算してみると,レムニスケート弧長の2等分点は

  sl(u/2)=(-1+√2)^1/2=0.643594

3等分点は

  sl(u/3)=1/2(1-(√2)(3)^1/4+√3)=0.435421

で示される.

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【2】極座標から直交座標へ

 ベルヌーイのレムニスケートの方程式は

  (x^2+y^2)^2=x^2−y^2

である.

 第1象限にある部分だけを考えることにして,この弧は原点O(0,0)を始点,P(1,0)を終点としてパラメータz(0≦z≦1)を用いれば,

  x^2=1/2(z^2+z^4),y^2=1/2(z^2−z^4)

と表せる.

 ここで注意しておきたいのはzは極座標(r,θ)における動径rであるということである.レムニスケートの場合,

  r^2=cos2θ=2cos^2θ−1=1/2sin^2θ

より,

  cosθ=((1+r^2)/2)^1/2

  sinθ=((1−r^2)/2)^1/2

したがって,

  x=rcosθ=((r^2+r^4)/2)^1/2

  y=rsinθ=((r^2−r^4)/2)^1/2

 あるいは

  z^2=x^2+y^2

  z^4=x^2−y^2

より

  x^2=1/2(z^2+z^4),y^2=1/2(z^2−z^4)

 したがって,レムニスケートの2等分点を求める際,

  sl(2z)=2z(1−z^4)^1/2/(1+z^4)=1

とおいてzを求めたあと,

  x^2=1/2(z^2+z^4),y^2=1/2(z^2−z^4)

により,2等分点(x,y)を求めなければならないことになる.

          z    (x,y)

  n=2 → 0.643594 → (0.541196,0.348311)

  n=3 → 0.435421 → (0.335810,0.277170)

  n=4 → 0.327379 → (0.243582,0.218735)

  n=6 → 0.218456 → (0.158115,0.150741)

  n=8 → 0.163865 → (0.117415,0.114304)

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