■初等幾何の楽しみ(その51)

【1】cos(π/7)

 cos(π/7)が3次方程式:8x^3-4x^2-4x+1=0の解として得られる.

  x=1/6{1+√7cos(1/3arctan3√3)+√21sin(1/3arctan3√3)}=0.900969

 7倍角の公式

  cos7θ=64cos^7θ-112cos^5+56cos^3-7cosθ

において,θ=π/7,cosθ=xとおくと

  64x^7-112x^5+56x^3-7x=-1

7次方程式の解として得られるというものであるが,3次方程式に還元するうまい手があるはずである.

 たとえば,sin(π/10)を求めるのに,θ=π/10とおくと

  5θ=π/2,3θ=π/2-2θ

より,

  cos3θ=sin2θあるいはsin3θ=cos2θ

こうすれは5次方程式を解く必要はない.

 前者は

  4cos^3θ-3cosθ=2sinθcosθ

  4cos^2θ-3=2sinθ

  4sin^2θ+2sinθ-1=0

より2次方程式に帰着する.

 後者は

  -4sin^3θ+3sinθ=1-2sin^2θ

となって,3次方程式が現れる.それでも

  (sinθ-1)(4sin^2θ+2sinθ-1)=0

と因数分解すれは同じ2次方程式に到達する.

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 θ=π/7,cosθ=xとおくと

  7θ=π,4θ=π-3θ

より,

  cos4θ=-cos3θあるいはsin4θ=sin3θ

 前者は4次方程式

  8cos^4θ-8cos^2θ+1=-4cos^3θ+3cosθ

後者は

  8sinθcos^3θ-4sinθcosθ=-4sin^3θ+3sinθ

  8cos^3θ-4cosθ=-4sin^2θ+3

  8cos^3θ-4cosθ=4cos^2θ-1

より3次方程式:8x^3-4x^2-4x+1=0に帰着するというわけである.

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【2】cos(π/9)

 x=cos(π/9)とおくと,3倍角の公式

  4x^3-3x=cos(π/3)=1/2

より,3次方程式:8x^3 -6x-1=0に帰着します.

 あるいは,θ=π/9,cosθ=xとおくと

  9θ=π,5θ=π-4θ

より,

  cos5θ=-cos4θあるいはsin5θ=sin4θ

 前者は5次方程式

  16cos^5θ-20cos^3θ+5cosθ=-8cos^4θ+8cos^2θ-1

となるが,後者は

  16sin^5θ-20sin^3θ+5sinθ=8sinθcos^3θ-4sinθcosθ

  16sin^4θ-20sin^2θ+5=8cos^3θ-4cosθ

よりcosθ関する3次方程式に帰着するというわけである.

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【3】cos(π/n)

 前述したように,θ=π/n,x=cosθが解となる方程式は,一般にn次式になると考えることは誤りである.

[1]n=2mのとき

  cosnθ=2cos^2mθ-1=-1

  cosmθ=0はcosθのm次式となる.

[2]n=2m+1のとき

  cosnθ=cosmθcos(m+1)θ-sinmθsin(m+1)θ1=-cos^2mθ-sin^2mθ=-1

ではしょうがないので,

  cosθ=cos((m+1)θ-mθ)=cosmθcos(m+1)θ+sinmθsin(m+1)θ1=-cos^2mθ+sin^2mθ=1-2cos^2mθ

とおくと,xの2m次式

 x=1-(xのm次式)^2

が得られる.たとえば,cos(π/7)の場合,6次式となるが,これではほとんどメリットがない.

[3]もしcos(π/n)が既知であるならば,cos(π/2n)は2次方程式からは芋づる式に求めることができる.

  2cos^2(π/4)-1=cos(π/2)=0

  2cos^2(π/8)-1=cos(π/4)=1/√2

  2cos^2(π/16)-1=cos(π/8)

  2cos^2(π/3)-1=cos(2π/3)=-1/2

  2cos^2(π/6)-1=cos(π/3)=1/2

  2cos^2(π/12)-1=cos(π/6)=√3/2

  2cos^2(π/5)-1=cos(2π/5)=(√5-1)/4

  2cos^2(π/10)-1=cos(π/5)=(√5+1)/4

  2cos^2(π/20)-1=cos(π/10)

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【4】チェビシュフ多項式

 ところで,ド・モアブルの定理:

  (cosθ+isinθ)^n=cosnθ+isinnθ

の左辺を2項展開して,両辺の実部,虚部を比較すると

  cosnθ=(cosθ)^n-nC2(cosθ)^n-2(sinθ)^2+・・・=(cosθのn次多項式)=Tn(cosθ)

  sinnθ=nC1(cosθ)^n-1sinθ-nC3(cosθ)^n-3(sinθ)^3+・・・=sinθ×(cosθのn-1次多項式)=sinθ×Un(cosθ)

を得る.

 このことから,cos(π/n),n=2m+1のとき,

  cos(m+1)θ=-cosmθとsin(m+1)θ=sinmθ

では後者の方が方程式の次数が下がり,m次方程式となることがおわかりいただけるであろう.

 なお,

  cosnθ=cosθcos(n-1)-sinθsin(n-1)θ

  sinnθ=sinθcos(n-1)+cosθsin(n-1)θ

より,漸化式

  Tn(cosθ)=cosθTn-1(cosθ)-(sinθ)^2Un-1(cosθ)

  Un(cosθ)=Tn-1(cosθ)+cosθUn-1(cosθ)

  Tn(cosθ)=2cosθTn-1(cosθ)-Tn-2(cosθ)

  Un(cosθ)=2cosθUn-1(cosθ)-Un-2(cosθ)

が成り立つ.

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【5】cos(2π/7)

 θ=2π/7,cosθ=xとおくと

  7θ=2π,4θ=2π-3θ

より,

  cos4θ=cos3θあるいはsin4θ=-sin3θ

 前者は4次方程式

  8cos^4θ-8cos^2θ+1=4cos^3θ-3cosθ

後者は

  8sinθcos^3θ-4sinθcosθ=4sin^3θ-3sinθ

  8cos^3θ-4cosθ=4sin^2θ-3

  8cos^3θ-4cosθ=-4cos^2θ+1

より3次方程式:8x^3+4x^2-4x-1=0に帰着するというわけである.

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【6】cos(2π/17)

 x=cos(2π/n),n=2m+1のとき,

  cos(m+1)θ=cosmθとsin(m+1)θ=-sinmθ

において,後者の方が方程式の次数が低く,m次方程式となる.

  sin9θ=-sin8θ

より,8次方程式

  256x^8-448x^6+240x^4-40x^2+1=-(128x^7-192x^5+80x^3-8x)

が得られたが,Mathematicaでは数値解x=cos(2π/17)=0.932472しか求めることができず,+-×÷√の演算の組み合わせの形の解析解にはならなかった.

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