【1】cos(π/7)
cos(π/7)が3次方程式:8x^3−4x^2−4x+1=0の解として得られる.
x=1/6{1+√7cos(1/3arctan3√3)+√21sin(1/3arctan3√3)}=0.900969
7倍角の公式
cos7θ=64cos^7θ−112cos^5+56cos^3−7cosθ
において,θ=π/7,cosθ=xとおくと
64x^7−112x^5+56x^3−7x=−1
7次方程式の解として得られるというものであるが,3次方程式に還元するうまい手があるはずである.
たとえば,sin(π/10)を求めるのに,θ=π/10とおくと
5θ=π/2,3θ=π/2−2θ
より,
cos3θ=sin2θあるいはsin3θ=cos2θ
こうすれは5次方程式を解く必要はない.
前者は
4cos^3θ−3cosθ=2sinθcosθ
4cos^2θ−3=2sinθ
4sin^2θ+2sinθ−1=0
より2次方程式に帰着する.
後者は
−4sin^3θ+3sinθ=1−2sin^2θ
となって,3次方程式が現れる.それでも
(sinθ−1)(4sin^2θ+2sinθ−1)=0
と因数分解すれは同じ2次方程式に到達する.
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θ=π/7,cosθ=xとおくと
7θ=π,4θ=π−3θ
より,
cos4θ=−cos3θあるいはsin4θ=sin3θ
前者は4次方程式
8cos^4θ−8cos^2θ+1=−4cos^3θ+3cosθ
後者は
8sinθcos^3θ−4sinθcosθ=−4sin^3θ+3sinθ
8cos^3θ−4cosθ=−4sin^2θ+3
8cos^3θ−4cosθ=4cos^2θ−1
より3次方程式:8x^3−4x^2−4x+1=0に帰着するというわけである.
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【2】cos(π/9)
x=cos(π/9)とおくと,3倍角の公式
4x^3−3x=cos(π/3)=1/2
より,3次方程式:8x^3 −6x−1=0に帰着します.
あるいは,θ=π/9,cosθ=xとおくと
9θ=π,5θ=π−4θ
より,
cos5θ=−cos4θあるいはsin5θ=sin4θ
前者は5次方程式
16cos^5θ−20cos^3θ+5cosθ=−8cos^4θ+8cos^2θ−1
となるが,後者は
16sin^5θ−20sin^3θ+5sinθ=8sinθcos^3θ−4sinθcosθ
16sin^4θ−20sin^2θ+5=8cos^3θ−4cosθ
よりcosθ関する3次方程式に帰着するというわけである.
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【3】cos(π/n)
前述したように,θ=π/n,x=cosθが解となる方程式は,一般にn次式になると考えることは誤りである.
[1]n=2mのとき
cosnθ=2cos^2mθ−1=−1
cosmθ=0はcosθのm次式となる.
[2]n=2m+1のとき
cosnθ=cosmθcos(m+1)θ−sinmθsin(m+1)θ1=−cos^2mθ−sin^2mθ=−1
ではしょうがないので,
cosθ=cos((m+1)θ−mθ)=cosmθcos(m+1)θ+sinmθsin(m+1)θ1=−cos^2mθ+sin^2mθ=1−2cos^2mθ
とおくと,xの2m次式
x=1−(xのm次式)^2
が得られる.たとえば,cos(π/7)の場合,6次式となるが,これではほとんどメリットがない.
[3]もしcos(π/n)が既知であるならば,cos(π/2n)は2次方程式からは芋づる式に求めることができる.
2cos^2(π/4)−1=cos(π/2)=0
2cos^2(π/8)−1=cos(π/4)=1/√2
2cos^2(π/16)−1=cos(π/8)
2cos^2(π/3)−1=cos(2π/3)=−1/2
2cos^2(π/6)−1=cos(π/3)=1/2
2cos^2(π/12)−1=cos(π/6)=√3/2
2cos^2(π/5)−1=cos(2π/5)=(√5−1)/4
2cos^2(π/10)−1=cos(π/5)=(√5+1)/4
2cos^2(π/20)−1=cos(π/10)
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【4】チェビシュフ多項式
ところで,ド・モアブルの定理:
(cosθ+isinθ)^n=cosnθ+isinnθ
の左辺を2項展開して,両辺の実部,虚部を比較すると
cosnθ=(cosθ)^n−nC2(cosθ)^n-2(sinθ)^2+・・・=(cosθのn次多項式)=Tn(cosθ)
sinnθ=nC1(cosθ)^n-1sinθ−nC3(cosθ)^n-3(sinθ)^3+・・・=sinθ×(cosθのn−1次多項式)=sinθ×Un(cosθ)
を得る.
このことから,cos(π/n),n=2m+1のとき,
cos(m+1)θ=−cosmθとsin(m+1)θ=sinmθ
では後者の方が方程式の次数が下がり,m次方程式となることがおわかりいただけるであろう.
なお,
cosnθ=cosθcos(n−1)−sinθsin(n−1)θ
sinnθ=sinθcos(n−1)+cosθsin(n−1)θ
より,漸化式
Tn(cosθ)=cosθTn-1(cosθ)−(sinθ)^2Un-1(cosθ)
Un(cosθ)=Tn-1(cosθ)+cosθUn-1(cosθ)
Tn(cosθ)=2cosθTn-1(cosθ)−Tn-2(cosθ)
Un(cosθ)=2cosθUn-1(cosθ)−Un-2(cosθ)
が成り立つ.
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【5】cos(2π/7)
θ=2π/7,cosθ=xとおくと
7θ=2π,4θ=2π−3θ
より,
cos4θ=cos3θあるいはsin4θ=−sin3θ
前者は4次方程式
8cos^4θ−8cos^2θ+1=4cos^3θ−3cosθ
後者は
8sinθcos^3θ−4sinθcosθ=4sin^3θ−3sinθ
8cos^3θ−4cosθ=4sin^2θ−3
8cos^3θ−4cosθ=−4cos^2θ+1
より3次方程式:8x^3+4x^2−4x−1=0に帰着するというわけである.
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【6】cos(2π/17)
x=cos(2π/n),n=2m+1のとき,
cos(m+1)θ=cosmθとsin(m+1)θ=−sinmθ
において,後者の方が方程式の次数が低く,m次方程式となる.
sin9θ=−sin8θ
より,8次方程式
256x^8−448x^6+240x^4−40x^2+1=−(128x^7−192x^5+80x^3−8x)
が得られたが,Mathematicaでは数値解x=cos(2π/17)=0.932472しか求めることができず,+−×÷√の演算の組み合わせの形の解析解にはならなかった.
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