【1】nが平方数でなければ√nは無理数である
√2が無理数であることはギリシア数学のなかでも有名な定理で,ピタゴラスが背理法を用いて証明している.
(証)√2が2つの互いに素な整数の比p/qで表されるとすると,√2=p/qすなわちp^2=2q^2.したがって,pは偶数であり,p=2rという形に表すことができる.代入して2で割ると
2r^2=q^2
が得られるが,qが偶数となって互いに素という仮定に反する.
√3が無理数であることも同様に証明できる.
(証)p,qを3で割り切れない2つの整数で,√3=p/qすなわちp^2=3q^2と仮定する.pは3で割り切れるから,p=3rという形に表すことができる.代入して3で割ると
3r^2=q^2
が得られるが,qが3で割り切れることになり矛盾.
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2で割ることができない2つの整数の積は2で割ることができない.3で割ることができない2つの整数の積は3で割ることができない.この議論は5でも適用され,5で割ることができない2つの整数の積は5で割ることができない.しかし,6ではこの議論は適用できず,検証すべき場合分けが増えていく.それでもこの議論を続けていけば√5,√6,√7,・・・も無理数であることを確認できるが,一般的にnが平方数でなければ√nは無理数であることを証明するには不十分である.
そこで,以下のようにすれば,古代から知られ高校の教科書に載っているものとあまり変わりなく,しかし,異なった味あいがする証明になるだろう.
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√nが有理数であるとし,√n=p/qとおくと,
p^2=nq^2
が成り立つ.素因数分解p=p1p2・・・pr,q=q1q2・・・qs,n=n1^i1n2^i2・・・nk^ik (p1≦・・・≦pr,q1≦・・・≦qs,n1<・・・<nk)を代入すれば
p1^2p2^2・・・pr^2=n1^i1n2^i2・・・nk^ikq1^2q2^2・・・qs^2
nは平方数ではないから,i1,・・・,ikのうち少なくともひとつは奇数,そこでilが奇数であるとする.しかし,p1^2p2^2・・・pr^2とq1^2q2^2・・・qs^2に現れるnlの個数は0または偶数であるから,素因数分解の一意性に矛盾する.
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【2】3√2=2^1/3は無理数である
3√2=p/q (p,qは公約数をもたない)
と書けるとすると,
p^3=2q^3 → pは偶数でなければならない
p=2kと書けるとすると,
8k^3=2q^3 → 4k^3=q^3 → qは偶数でなければならない
p,qは公約数2をももつことになり矛盾.よって,3√2は無理数である.
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【3】4√5=5^1/4は無理数である
√5が無理数であることは既知とする.
(4√5)^2=√5
より,もし4√5が有理数ならば,√5は有理数となるので矛盾.
無理数の有理数倍,無理数の逆数は無理数であるから
5^3/4=5/5^1/4 → 無理数
5^5/4=5・5^1/4 → 無理数
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【4】φ=(1+√5)/2=2cos36°は無理数である
xは無理数,a,b,c,dは有理数とする.このとき
y=(ax+b)/(cx+d)
は無理数である.なぜなら.yが有理数ならば
x=(dy−b)/(a−cy)
は有理数となり矛盾が生じる.これよりφは無理数である.
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【5】log102は無理数である
有理数,したがって
log102=p/q
と書けると仮定すると
qlog102=p→2^q=10^p=2^p・5^p
同じ数について2通りの素因数分解ができることになり矛盾.
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【6】α=√2+√3は無理数である
α−√2=√3
の両辺を2乗して,√2について解くと
√2=(α^2−1)/2α
αが有理数だと仮定すると,√2も有理数であることになり矛盾.
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【7】α=3√2+√2は無理数である
α−√2=3√2
の両辺を3乗して,√2について解くと
√2=(α^3+6α−2)/(3α^2+2)
αが有理数だと仮定すると,√2も有理数であることになり矛盾.
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