■フラクタル構造と非微分可能曲線

 フラクタル構造はいたるところで微分不可能な連続曲線という病理的な性質をもっている.今回のコラムでは導関数をもたない連続関数について考察する.

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【1】ワイエルシュトラスの例

 いかなるところでも微分可能でない関数の最初の例はワイエルシュトラスに負っている.

[1]0<a<1,ab>1+3π/2=5.712,bは奇数.このとき

  W(t)=Σ(0,∞)a^ncos(b^nπt)

[2]E(t)=−2t+1   (0≦t≦1)

   E(t)=2t−3    (1≦t≦2)

この定義をすべての実数tに拡張して,E(t)は周期2の周期的偶関数とする.

  E(−t)=E(t),E(t+2)=E(t),E(t+1)=−E(t)

  E(t+k)=(−1)^kE(t),E(n)=(−1)^n

  0<a<1,ab>4,bは奇数.このとき

  F(t)=Σ(0,∞)a^nE(b^nt)

はいかなるところでも微分可能ではない.たとえば

  F(t)=Σ(0,∞)E(9^nt)/2^n

はいかなるところでも微分可能でない.

[3]f(t)=0      (0≦t≦1/3)

   f(t)=3t−1   (1/3≦t≦2/3)

   f(t)=1      (2/3≦t≦1)

   S(t)=3/4(E(t−1)+1)=Σ(0,∞)f(3^nt)/3^n

   S(t)=3t/2      (0≦t≦1)

   S(t)=−3t/2+3   (1≦t≦2)

は周期2の連続な偶関数である.

   f(t)=S(t)−S(3t)/3

   S(9^nt)=3/4(E(9^nt−1))+3/4=3/4(E(9^n(t−1))+3/4   (∵9^n=1  (mod2))ン

   Σ(0,∞)S(9^nt)/2^n=3/4(F(t−1))+3/2

はいかなるところでも微分可能でない.

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【2】ワイエルシュトラスの近似定理

 任意の周期関数は三角級数近似できるというのがフーリエの定理であるのに対し,任意の関数は多項式で近似できるというのがワイエルシュトラスの近似定理である.

 ここではランダウによる証明の概要を紹介する.はじめにξ=λx+μの形の変換を行って,区間[a,b]を区間[0,1]に変換しておく.ランダウ核

  Dn(u)=(1−u^2)^n/2∫(1−u^2)^ndu

として,証明の目標は「閉区間a≦x≦bで連続な関数f(x)は多項式によって一様に近似することができる」=「任意のεに対し,常に|f(x)−P(x)|<εとなる多項式P(x)が存在する」を示すことにある.

 証明は解析的で,かなり長くなるが

  Pn(x)=∫f(u)Dn(x−u)du→f(x)

が示されQED.Pn(x)はxに関して2n次多項式になっている.

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