■フーリエ変換とアダマール変換(その3)

【1】有限フーリエ級数の幾何学的解釈

  ω=exp(2πi/5)とおくと,F5は対称行列となる.

     [1, 1, 1, 1, 1]

     [1, ω,ω^2,ω^3,ω^4]

  F5 =[1,ω^2,ω^4, ω,ω^3]

     [1,ω^3, ω,ω^4,ω^2]

     [1,ω^4,ω^3,ω^2, ω]

 ここで,F5の列による5個の基本多角形

  Π0=[1, 1, 1, 1, 1]

  Π1=[1, ω,ω^2,ω^3,ω^4]

  Π2=[1,ω^2,ω^4, ω,ω^3]

  Π3=[1,ω^3, ω,ω^4,ω^2]

  Π4=[1,ω^4,ω^3,ω^2, ω]

を考える.

 Π0は5回繰り返した点1,Π1は正5角形,Π2は点1から始まって正5角形の頂点を反時計回りに1つおきにとって得られる星状5角形,Π3は正5角形の頂点を3番目毎にとって得られる星状5角形=時計回りに1つおきにとって得られる星状5角形,Π4は正5角形の頂点を4番目毎にとって得られる星状5角形=時計回りの正5角形であることがわかるだろう.

 離散フーリエ変換(DFT)は,Fnをn×n行列,aをベクトルとして,

  A=Σakexp(2πik/n)=Fna

と書くことができるが,

  Π=[z0,z1,・・・,zn-1]

  Π=a0Π0+a1Π1+・・・+an-1Πn-1

より,Πをn個の基本多角形により分解すると幾何学的に解釈することができる.

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