u=(1,1,・・・,1),v=(d1,d2,・・・,dN)
に対して,コーシー・シュワルツの不等式(u・v≦|u||v|)を適用すれば,長さの総和の2乗と長さの2乗の総和の間に
(Σd)^2≦NΣd^2
また,
u=(1/√d1,1/√d2,・・・,1/√dN),v=(√d1,√d2,・・・,√dN)
に対して,コーシー・シュワルツの不等式(u・v≦|u||v|)を適用すれば,チェビシェフの不等式
(Σd)・(Σ1/d)≧N^2
が得られる.
したがって,長さの総和と長さの逆数の総和の間に
(Σd)^2・(Σ1/d)^2≧N^4
が成り立つ.
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
u=(1/d1,1/d2,・・・,1/dN),v=(d1,d2,・・・,dN)に対しては
(Σd^2)・(Σ1/d^2)≧N^2
が成り立つ.
ひとつの頂点から他のn−1個の頂点までの距離を考える場合はN=n−1,すべての2頂点間の距離を考える場合はN=n(n−1)/2となるので,それぞれ
Σ1/d^2≧N^2/Σd^2=(n−1)^2/2n
Σ1/d^2≧N^2/Σd^2=(n−1)^2/4
任意の次元の正単体のとき等号成立
(その45)に掲げた上限
Σ1/d^2≦(n^2−1)/12
Σ1/d^2≦n(n^2−1)/24
と対をなす下限が得られたことになる.
(n−1)^2/2n≦Σ1/d^2≦(n^2−1)/12
(n−1)^2/4 ≦Σ1/d^2≦n(n^2−1)/24
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
同様に,相加平均・相乗平均不等式
Σd^2/N≧(Πd^2)^1/N=(Πd)^2/N
より,それぞれ
Πd≧(Σd^2/N)^N/2=(2n/(n−1))^(n-1)/2
Πd≧(Σd^2/N)^N/2=(2n/(n−1))^n(n-1)/4
任意の次元の正単体のとき等号成立.
n→∞のとき
(2n/(n−1))^(n-1)/2→2^(n-1)/2√e
(2n/(n−1))^n(n-1)/4→2^n(n-1)/4・e^n/4
(その45)に掲げた下限
Πd≧n
Πd≧n^n/2
と対をなす上限が得られたことになる.
n≦Πd≦(2n/(n−1))^(n-1)/2
n^n/2≦Πd≦(2n/(n−1))^n(n-1)/4
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