■n次元正多面体の辺と対角線(その46)

  u=(1,1,・・・,1),v=(d1,d2,・・・,dN)

に対して,コーシー・シュワルツの不等式(u・v≦|u||v|)を適用すれば,長さの総和の2乗と長さの2乗の総和の間に

  (Σd)^2≦NΣd^2

 また,

  u=(1/√d1,1/√d2,・・・,1/√dN),v=(√d1,√d2,・・・,√dN)

に対して,コーシー・シュワルツの不等式(u・v≦|u||v|)を適用すれば,チェビシェフの不等式

  (Σd)・(Σ1/d)≧N^2

が得られる.

 したがって,長さの総和と長さの逆数の総和の間に

  (Σd)^2・(Σ1/d)^2≧N^4

が成り立つ.

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

  u=(1/d1,1/d2,・・・,1/dN),v=(d1,d2,・・・,dN)に対しては

  (Σd^2)・(Σ1/d^2)≧N^2

が成り立つ.

 ひとつの頂点から他のn−1個の頂点までの距離を考える場合はN=n−1,すべての2頂点間の距離を考える場合はN=n(n−1)/2となるので,それぞれ

  Σ1/d^2≧N^2/Σd^2=(n−1)^2/2n

  Σ1/d^2≧N^2/Σd^2=(n−1)^2/4

任意の次元の正単体のとき等号成立

 (その45)に掲げた上限

  Σ1/d^2≦(n^2−1)/12

  Σ1/d^2≦n(n^2−1)/24

と対をなす下限が得られたことになる.

  (n−1)^2/2n≦Σ1/d^2≦(n^2−1)/12

  (n−1)^2/4 ≦Σ1/d^2≦n(n^2−1)/24

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 同様に,相加平均・相乗平均不等式

  Σd^2/N≧(Πd^2)^1/N=(Πd)^2/N

より,それぞれ

  Πd≧(Σd^2/N)^N/2=(2n/(n−1))^(n-1)/2

  Πd≧(Σd^2/N)^N/2=(2n/(n−1))^n(n-1)/4

任意の次元の正単体のとき等号成立.

 n→∞のとき

  (2n/(n−1))^(n-1)/2→2^(n-1)/2√e

  (2n/(n−1))^n(n-1)/4→2^n(n-1)/4・e^n/4

 (その45)に掲げた下限

  Πd≧n

  Πd≧n^n/2

と対をなす上限が得られたことになる.

  n≦Πd≦(2n/(n−1))^(n-1)/2

  n^n/2≦Πd≦(2n/(n−1))^n(n-1)/4

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