【1】正五角形の作図可能性とトレミーの定理
辺の長さが1の正五角形の長さをzとしトレミーの定理を適用すると
1+z=z^2 → z=(√5+1)/2
あるいは,正五角形の辺の長さをx,対角線の長さをyとすると,
x^2y^2=5,x^2+y^2=5
より,2次方程式(z^2−5z+5=0)の範囲内で(x,y)が求まる.
x^2=(5−√5)/2,y^2=(5+√5)/2
もしこれにトレミーの定理
「円に内接する四角形の相対する辺の長さの積の和=対角線の積
AB・CD+AD・BC=AC・BD」
を適用すれば,余分な式
x^2+xy=y^2
がでてしまうが,
x^2+y^2=5
x^2−y^2=−√5
となり,連立1次方程式の範囲内で(x,y)が求まることになる.
x^2=(5−√5)/2,y^2=(5+√5)/2
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【2】円に内接する正5角形の作図法(1)
円Oに内接する正5角形の作図の手順は
[1]直径ABを引く
[2]ABを垂直二等分線を引き,円Oとの交点をCとする
[3]ABを垂直二等分線を引き,AOとの交点をDとする
[4]Dを中心とする半径DCの円弧を描き,ABとの交点をEとする
[5]Cを中心とする半径CEの円弧を描き,円Oとの交点をFとする
[6]CFが正5角形の1辺の長さとなる
であるが,
DC=√5/2
CE={(5−√5)/2}^1/2=x(1辺の長さ)
になっているというわけである.
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【3】円に内接する正5角形の作図法(2)
[1]直交する縦軸と横軸の交点Oを中心とする半径1も円を描く
[2]点A(0,1),点Z(0,−1),点M(1/2,0),点M’(−1/2,0)とする
[3]点M,M’を中とする半径1/2の円を描く
[4]点Zを中心として,点Zと点Mを結んだ線と半径1/2の円の2つの交点を通る大小の弧を描く
[5]大小の弧と半径1の円との4交点B,C,D,Eと点Aが正五角形の頂点となる(江戸時代後期の和算家・平野喜房による作図法)
であるが,
MZ=√5/2
DZ=(√5−1)/2,EZ=(√5+1)
AD=y,AE=x
になっているというわけである.
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