n!^2=(1・2・・・n)(n・・・2・1)=Πk(n+1−k)
ここで,k(n+1−k)はk=1のとき最小値n,k=(n+1)/2のとき最大値(n+1)^2/4をとるから
Πn≦n!^2≦Π(n+1)^2/4
より
n^n/2≦n!≦(n+1)^n/2^n
したがって,体積要素n^n/n!に関する不等式
2^n(1+1/n)^-n≦n^n/n!≦n^n/2
が成り立つ.
一方,もとのn次元正軸体の1象限の体積は1/n!.また,切頂後2個で1辺の長さ(2/n)の立方体ができるから,不等式
2^n/2≦n^n/n!
が成り立つことを図形的に示すことができる.
ここで,
(1+1/n)^n
は単調増加で
2≦(1+1/n)^n≦e
あるので,
2^n(1+1/n)^-n≦2^n/2
以上より
2^n(1+1/n)^-n≦2^n/2≦n^n/n!≦n^n/2
この不等式は,スターリング近似
n^n/n!〜e^n/√(2πn)
から明らかかもしれないが,下限に関しては解析的不等式よりも図形的不等式の方が精度が高いことは面白いであろう.予期せぬ効能であった.
最後に,よりよい幾何学的不等式を得ることを考えよう.スターリング近似の出自を考えると漸近的に成り立つ不等式であってよいものとする.
空間充填2^n+2n面体の場合,球(r^2=1/n)は最適のものではないにせよ,かなりいい線をいっている近似球体であるが,
2<8/π<e
より,図形的不等式
n^n/n!≧2^n/2 (n≧1)
よりもよい近似
n^n/n!≧(8/π)^n/2 (n≧30)
n^n/n!≧(8/π)^n・√π/(2n) (n≧18)
が得られることを申し添えておきたい.
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