■正多角形の近似作図問題(その2)

 定規とコンパスだけで正3角形,正4角形,正6角形,正8角形が作図できることは簡単にわかりますが,辺の数5,7,9の場合はどうでしょうか.正5角形は古代ギリシャにおいて作図可能であることが発見されました.となれば,次に正7角形・正9角形の作図は?と考えるのは自然な成り行きでしょう.ところが,かのアルキメデスでさえも正7角形・正9角形の作図に成功しなかったといわれています.

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【1】近似的な内接正7角形の作図

 内接正多角形の作図は画家であり建築家であるレオナルド・ダ・ヴィンチの関心を惹きました.しかし,彼でさえ近似的な内接正七角形の作図を正確なものと思っていたようです.

 円Oに内接する近似正7角形の作図の手順は

[1]直径ABを引く

[2]直径ABを7等分し,その等分点を1,2,・・・,6とする

[3]ABを1辺とする正三角形の頂点となる点Cを求める

[4]点Cと点5を結び,その延長と円が交わる点をDとする

[5]BDが正7角形の1辺の長さとなる

 点C(−√3,0),点5(3/7,0)を結ぶ直線は

  y=7/√3・x−√3

x^2+y^2=1に代入すると

  x^2+49/3・x^2−14x+3=1

  52/3・x^2−14x+2=0

  26x^2−21x+3=0

  x=(21+√129)/52=0.62266

 一方,

  cos(2π/7)=0.62349

と近似度は高いことがわかる.

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【2】近似的な内接正9角形の作図

 同様の作図法で,直径ABを9等分すれば,近似正9角形を作図できる.すなわち,円Oに内接する近似正9角形の作図の手順は

[1]直径ABを引く

[2]直径ABを9等分し,その等分点を1,2,・・・,8とする

[3]ABを1辺とする正三角形の頂点となる点Cを求める

[4]点Cと点7を結び,その延長と円が交わる点をDとする

[5]BDが正9角形の1辺の長さとなる

 点C(−√3,0),点7(5/9,0)を結ぶ直線は

  y=9√3/5・x−√3

x^2+y^2=1に代入すると

  x^2+243/25・x^2−54/5・x+3=1

  134x^2−135x+25=0

  x=(135+√4825)/268=0.762919

 一方,

  cos(2π/9)=0.766045

と近似度は高いことがわかる.

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【3】近似的な内接正5角形の作図

 同様の作図法で,直径ABをn等分すれば,近似正n角形を作図できる.n=3,4,6以外は近似法である.

 円Oに内接する近似正5角形の作図の手順は

[1]直径ABを引く

[2]直径ABを5等分し,その等分点を1,2,・・・,4とする

[3]ABを1辺とする正三角形の頂点となる点Cを求める

[4]点Cと点3を結び,その延長と円が交わる点をDとする

[5]BDが正5角形の1辺の長さとなる

 点C(−√3,0),点7(1/5,0)を結ぶ直線は

  y=5√3・x−√3

x^2+y^2=1に代入すると

  x^2+75x^2−30x+3=1

  38x^2−15x+1=0

  x=(15+√73)/76=0.30979

 一方,

  cos(2π/9)=0.309018

と近似度は高いことがわかる.

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【4】内接正3角形の作図

 円Oに内接する近似正3角形の作図の手順は

[1]直径ABを引く

[2]直径ABを3等分し,その等分点を1,2とする

[3]ABを1辺とする正三角形の頂点となる点Cを求める

[4]点Cと点1を結び,その延長と円が交わる点をDとする

[5]BDが正3角形の1辺の長さとなる

 点C(−√3,0),点1(−1/3,0)を結ぶ直線は

  y=−3√3・x−√3

x^2+y^2=1に代入すると

  x^2+27x^2+18x+3=1

  14x^2+9x+1=0

  x=−14/28=−0.5

 一方,

  cos(2π/3)=−0.5

となって精確な作図法であることがわかる.n=4,6も同様である.

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