【1】補遺
1947年,ミルはある定数Aが存在し,すべてのnに対して素数だけしか与えない公式
pn=[A^3^n]
を示した.
1.306377883863<A<1.306377883869
p1=2,p2=11,p3=1361,p4=2521008887
一見不可能のように思えるが,実はこの式から作り出されるすべての素数は定数Aのなかにそっと埋め込まれている.定数Aを決定するには素数に関する予備知識が必要になるが,予備知識なしでもわかるように「埋め込み」をたとえ話で説明すると,定数Aは素数が陽に埋め込まれた実数の定数
B=0.20300050000000700000000000000110・・・
のようなものである.
この数に10を掛けて整数の部分を取り出すと最初の素数2が取り出される.次に,100を掛けて整数の部分を取り出すと2番目の素数3が取り出される.一般に,n番目の素数が取り出された後,10^2^nを掛けて整数の部分を取り出すとn+1番目の素数が取り出される.いいかえれば,定数Bの中に埋め込まれていない素数を生成することはできないというわけである.
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【2】素数を表さない公式
たとえば,100万個の整数の中に素数が1個も存在しない式は
(10^6+1)!+n (n=2〜1000001)
であり,これらはすべて合成数になる.n番目の素数をpnとすると
p1p2・・・pn+2とp1p2・・・pn+pn-1−1
の間にある数もすべて合成数である.
一方,n<p≦2nの間には常に1個の素数がある(1845年のベルトラン仮説を1850年,チェビシェフが証明した).直接,素数定理から漸近表現を求めると
π(2n)−π(n)=2n/ln(2n)−n/ln(n)
となる.
あるいは同じことであるが,各素数はその前の素数の2倍より小さい.
pk+1<2pk
n番目の素数は
pn〜nln(n)
であるから,漸近的に2nとn^2の間に位置する.したがって,素数は偶数よりは少ないが平方数よりは多い.
もっとよい近似では
lnx−3/2<x/π(x)<lnx−1/2
n(ln(n)+lnln(n)−3/2)<pn<n(ln(n)+lnln(n)−1/2))
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