n番目の調和数を
Hn=1/1+1/2+1/3+1/4+・・・+1/n
と定義すると,H1=1,H2=3/2,H3=11/6,・・・,H∞=∞となります.(n>1ならばHn は整数にはなりません.)
今回のコラムでは,調和級数の和
ΣHn
を求めることにしますが,まずその前に・・・
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【1】調和級数の発散
調和級数
H∞=1/1+1/2+1/3+1/4+・・・
は,はじめの1000項で7.485,100万項で14.393,10億項で21.3,1兆項で28.2と非常にゆっくりとですが大きくなり,ついには無限大に発散します.調和級数が発散することは容易に示すことができます.
1/3+1/4>1/4+1/4=1/2
1/5+1/6+1/7+1/8>1/8+1/8+1/8+1/8=1/2
・・・・・
したがって,
H∞>1+1/2+1/2+1/2+1/2+・・・→∞
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
調和級数Hn=Σ(1/n)は非常にゆっくりとですが大きくなり,ついには無限大に発散すること,すなわち,
1/1+1/2+1/3+1/4+・・・+1/n〜logn→∞
は容易に示すことができしたが,奇数項だけを集めて作った級数は,調和級数よりも増加の速度は遅い者の合算します.
1/1 +1/3 +1/5 +1/7 +・・・
>1/2+1/4+1/6+1/8+・・・
=1/2(1/1+1/2+1/3+1/4+・・・)→∞
同様に,偶数項だけ集めて作った級数も収束せず無限大に発散します.
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【2】調和級数の和
ここで,n番目までの調和数の和を
ΣHk =H1+H2+H3+H4+・・・+Hn
= 1
+1+1/2
+1+1/2+1/3
+1+1/2+1/3+1/4
・・・・・・・・・・・・・・
+1+1/2+1/3+1/4+・・・+1/n
と並べ替え,縦方向に沿って和をとると,
= n+(n−1)/2+(n−2)/3+・・・+1/n
= (n−1)/1+(n−2)/2+(n−3)/3+・・・+(n−n)/n+(1+1/2+・・・・+1/n)
= nHn−n
さらに,
ΣkHk =n(n−1)/2Hn−n(n−1)/4
一般に
Σ(k、m)Hk =(n,m+1)(Hn−1/(m+1))
ΣHk/kに対しては,
ΣHk /k=1/2((Σ1/k)^2+Σ(1/k^2))
=1/2(Hn^2+Σ(1/k^2))=1/2(Hn^2+Hn^(2))
と求められる.また,
ΣHk^(2) =(n+1)Hn^(2)−Hn
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【3】調和級数の漸近近似式とオイラーの定数
Hn 〜ln(n)+γ+1/(2n)−1/(12n^2}+1/(120n^4)+O(1/n^6)
nを無限大にしたとき,調和級数
H∞= 1/1+1/2+1/3+1/4+・・・
は発散しますが,そのn次部分和Hnは離散的な世界で連続関数lnnに対応するものであり,自然対数は双曲線y=1/xの下の面積として定義できます.
したがって,双曲線y=1/xを上と下から棒グラフではさんで近似することにより,lognとlogn+1の間に押し込まれまれることがわかります(∵∫1/xdx=logx).このことより,Hn とlognの比{Hn /logn}は
Hn /logn→1 (n→∞)
です.
一方,Hn とlognの差{Hn −logn}は確定した極限値γに収束します.
Hn −logn→γ (n→∞:Hn =logn+γ+O(1/n))
Hn −logn→γ (n→∞:Hn =logn+γ+o(1))
この極限値はオイラーの定数として知られており,約0.57722になります.オイラーの定数の比較的よい近似値は4/7で,さらによい近似値は41/71で与えられます.
Hn は上限と下限の間の約58%のところにあることがわかりましたが,今日に至るまで,オイラーの定数の値は有理数とも無理数ともわかっていません.おそらく,超越数なのでしょう.
また,オイラーの定数γを極限値lim(Σ1/k−lnn)を直接計算するのは収束が遅くて非効率的です.そこで,
log(1+x)=x−x2/2+x3/3−x4/4+・・・
log(1+1/x)=1/x−1/(2x2)+1/(3x3)−1/(4x4)+・・・
より
logΓ(1+s)=−γs+ζ(2)/2s^2−ζ(3)/3s^3+・・・
これを用いると
γ=ζ(2)/2−ζ(3)/3+ζ(4)/4−ζ(5)/5+・・・
あるいは
γ=1−1/2(ζ(2)−1)−1/3(ζ(3)−1)−1/4(ζ(4)−1)−・・・
などと書けることになります.これらの無限級数はかなり速く収束します.
なお,素数の逆数の和Σ(1/p)については
lim{Σ(1/p)−loglogn}→0.26149・・・
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