コンウェイ&ガイ「数の本」の解説を引用すると『1から始まる等差数列の最初のn項を足すと,いろいろな多角数が得られる.
1+1+1+1+1+・・・からは自然数が得られる:1,2,3,4,5,・・・
1+2+3+4+5+・・・からは三角数が得られる:1,3,6,10,15,・・・
1+3+5+7+11+・・・からは四角数が得られる:1,4,9,16,25,・・・
1+4+7+10+13+・・・からは五角数が得られる:1,5,12,22,35,・・・
1+5+9+13+17+・・・からは六角数が得られる:1,6,15,28,45,・・・』
一般に,m角数の第n項は,多角形の辺数mは公差よりも2だけ大きいことから,初項1,公差m−2の等差数列の和:
1/2・n・{2+(m−2)(n−1)}
で与えられることがわかります.
1/2・n・{2+(m−2)(n−1)}の形の自然数をm角数といいます.すなわち,三角数△nとはn(n+1)/2,四角数□nとはn^2の形の自然数,すなわち平方数です.また,五角数☆nはn(3n−1)/2で表されます.
多角数という名前はそれぞれの図形の点の配置に由来するもので,ピタゴラスらが興味をもった図形数ですから,代数的にではなく図形的に考えてみることにしましょう.そうすると,n−1番目の三角数をΔn-1=(n−1)n/2とすると,多角形にΔn-1個の点からなる三角形を追加して作ることができるわけですから
n+(m−2)Δn-1=1/2・n・{2+(m−2)(n−1)}
とも考えることができるのです.
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【1】数の三角数分割
三角数とは
0,1,3,6,10,15,21,28,・・・,k(k+1)/2
のことですが,三角数定理(ガウス,1796年)をシンボリックに書くと
n=△+△+△,△=k(k+1)/2
すなわち「すべての整数は3つの三角数の和によって表し得る」について,簡単な数値実験から始めることにしましょう.
nを越えない最大の三角数をとり,その残りに対して同様に最大の三角数をとる,・・・,そして残りが三角数になるとおしまいというアルゴリズムによって,3個の三角数の和
n=△+△+△
に分解できるように思われます.はたして,これは正しいのでしょうか?
1=1
2=1+1
3=3
4=3+1
5=3+1+1
6=6
7=6+1
8=6+1+1
9=6+3
10=10
11=10+1
12=10+1+1
13=10+3
14=10+3+1
15=15
16=15+1
17=15+1+1
18=15+3
19=15+3+1
20=15+3+1+1
21=21
22=21+1
23=21+1+1
24=21+3
25=21+3+1
26=21+3+1+1
20や26では4個の三角数の和となり,このアルゴリズムは20で破綻してしまいます.しかし,これらは
20=15+3+1+1=10+10
26=21+3+1+1=15+10+1
のように,より少ない数の三角数和として幾通りかに表すことのでき,すべての正の整数は3個の三角数の和の形に表すことができるというのがガウスの定理です.
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【2】m角数定理
「m角数定理」とは「すべての自然数はたかだかm個のm角数で表せる」というものです.この定理で,m=3の場合がガウスの定理「n=△+△+△」,m=4の場合がラグランジュの定理「n=□+□+□+□」に相当します.m=5の場合が五角数定理「n=☆+☆+☆+☆+☆」の相当するわけですが,フェルマーが遺して後世を悩ましていたこの命題は,オイラー,ラグランジュ,ルジャンドルなどの研究を経て,1813年,コーシーが証明しセンセーションを巻き起こしました.
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【3】三角数定理の証明
ガウスは1796年の日記に「わかった! n=△+△+△」と書いていますが,それはすべての整数は3つの3角数の和によって表しうるという意味で,m=3の場合についての証明に相当します.
ガウスの発見は8n+3の形をしたすべての整数を3つの奇数の平方の和として表せることを意味していて,3平方和定理「8n+7の形の自然数は3つの平方数の和では表せない」を用いると「n=△+△+△」を簡単に示すことができます.
(証明)4^k(8n+7)でない奇数は3平方和で表せますから,任意の自然数nに対して8n+3=x^2+y^2+z^2と書けます.このとき,x=2p+1,y=2q+1,z=2r+1とおくと
n=p(p+1)/2+q(q+1)/2+r(r+1)/2
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