【1】まんじゅう等分問題
(Q)半径1の半球を底面と平行な平面y=aで切って,体積を2等分するにはどこで切ればよいか.
(A)y=f(x)>0のグラフをx軸を中心に回転させてできる回転体の体積は
V[y]=π∫y^2dx
で与えられる.y=(1-x^2)^(1/2)とおくと
V[y]=π∫(1-x^2)dx
π∫(0,a)(1-x^2)dx=π(3a-a^3)/3
が球全体の1/4になればよい.
π∫(0,a)(1-x^2)dx=π(3a-a^3)/3=π/3
a^3-3a+1=0
a=0.3472963553=2cos10
ついでに,半球の表面積を2等分するにはどこで切ればよいかの解も求めておこう.
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【2】球面上の2色問題
球面のちょうど50%を黒塗りする問題を考えます.赤道が与えられているならば北半球か南半球を黒く塗りつぶせばよいのですが,そのような塗り方ではなく,赤道の周りに幅2ωの帯を設けて,ここに表面積の50%が含まれるようなωを求めてみてください.すなわち
P{x<S2:−ω≦x≦ω}=P{x<S2:x^2≦ω^2}=0.5
ただし,赤道や両極,緯線は与えられているものとします.
[A]n=3の場合,S2は4π(表面積)ですが,y=f(x)>0のグラフをx軸を中心に回転させてできる曲面の面積は
S[y]=2π∫y(1+(y')^2)^1/2dx
で与えられますから,y=(1-x^2)^(1/2)とおくと
S[y]=2π∫(0,x)dx=2πx=0.5/2・4π
よりω=0.5と求められます.
sinθ=0.5
は緯度30°に相当しますから,表面積の50%となるためには北緯30°〜南緯30°の範囲を塗りつぶせばよいことがわかります.なお,S1は2π(円周)ですから,円周の50%となるためには
ω=sin(0.5/4・2π)=sin45°=1/√2
より北緯45°〜南緯45°の範囲を黒く塗りつぶします.
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【3】高次元球面上の2色問題
この問題は高次元球面に一般化することができます.n>3は簡単には求められませんが,x=(x1,x2,・・・,xn)を単位球面Sn-1上で一様分布する点とすると,xn^2の分布はベータ分布Beta(1/2,(n-1)/2)となります.→[参]高次元のパラドックスとスターリングの公式(その3)
ベータ分布は不完全ベータ関数と密接に関係していて,その分布関数はガウスの超幾何関数2F1を使って以下のように表現されます.
F(x)=1/px^p2F1(p,1-q,p+1,x)/Β(p,q)
=1/px^p(1−x)^q2F1(p+q,1,p+1,x)/Β(p,q)
この式からわかるようにベータ分布は区間(0,1)で定義された分布で,(0,1)に制限されているため,ニュートン法などの反復解法を用いてパーセント点を求めるには不向きです.そこで,区間(0,∞)で定義されたF分布の上側確率との間には
Q(df1,df2,F)=Ix(df2/2,df1/2,x),x=df2/(df2+df1*F)
Ix(p,q)=∫(0,x)t^(p-1)(1-t)^(1-q)dt/B(p,q)
の関係のあることを使って,F分布に関する計算をしてからベータ分布関数に変換する方法でベータ分布のパーセント点を求めることにします.また,その方が初期値を求めるうえでもを便利です.
n ω
2 .707107
3 .5
4 .403973
5 .347296
6 .309073
7 .281128
8 .259573
9 .242303
10 .228067
20 .155824
30 .12583
40 .108378
50 .0966214
60 .0880126
70 .0813585
80 .0760163
90 .0716048
100 .0678818
この計算が示していることは,(直観に反して)大きいnに対してはSn-1のほとんどが赤道のかなり近くに位置しているというものです.nが大きいときωのオーダーはn^(-1/2)になります.
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