■雑多な数論問題(その7)

 今回のコラムでは,漸近平均・漸近確率を取り上げる.

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【1】フェルマーの定理とオイラーの定理

 フェルマーの定理「aが素数pと公約数をもたないならば,a^p-1−1はpで割り切れる」は,記号

  (a,p)=1→p|a^p-1−1

を用いて表される.フェルマーの定理の逆は真ではない.

 オイラーはフェルマーの定理を一般化・拡張した.φ(m)を1からm−1までの整数のうちいくつがmと公約数をもたないかをいう数論的関数とすると,オイラーの定理は記号

  (a,m)=1→m|a^φ(m)−1

を用いて表される.mが素数ならφ(m)=m−1より,フェルマーの定理に一致する.

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【2】関数φ(n)の漸近平均

 関数φ(n)はかなり変動する関数であるが,その漸近的な振る舞いは

  Σφ(k)〜3n^2/π^2

誤差項まで含めると

  1/n・Σφ(k)/k〜6/π^2+O((ln(n)/n)

  1/n^2・Σφ(k)〜3/π^2+O((ln(n)/n^2)

 すなわち,

  φ(k)の平均値/n〜6/π^2=1/ζ(2)=0.61

これは無作為に選んだ2つの整数が公約数をもたない(互いに素である)確率に等しい.

 なお,(2,5,8)のように3つあるいはそれ以上の整数があって,それらが共通の因数をもたない確率は1/ζ(k)で与えられる.k=3のとき,0.832である.それに対して,(2,5,9)のように3つあるいはそれ以上の整数があって,それらすべての可能な対(k,2)組が互いに素になる確率は,k=3のとき

  36/π^4Π(1−1/(p+1)^2)=.28

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【3】約数関数d(n)と約数の総和関数σ(n)の漸近平均

 n=Πp^eのとき,

  d(n)=Π(e+1),

  σ(n)=Π(p^e+1−1)/(p−1)

で与えられる関数の漸近的な振る舞いは,

  1/n・Σd(k)〜ln(n)+2γ−1+O(1/√n)

  1/n^2・Σσ(k)〜π^2/12+O(ln(n)/n)

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