■4次元正多胞体による空間充填と元素定理(その15)

 (その13)(その14)では,半径√nの球に内接する立方体・正単体・正軸体の辺の長さと隣接する頂点間の球面距離を扱ったが,球面距離だけで済むものと思われる.

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【1】頂点間の球面距離

 外接球の半径が√nのn次元立方体のひとつの頂点からでる辺の長さと本数は

  L1=2,N1=n=(n,1)

  L2=2√2,N2=(n,2)

  L3=2√3,N3=(n,3)

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  Ln=2√n,Nn=1=(n,n)

 また,n次元立方体の重心をOとする.その頂点をP1,P2,・・・,P2^nとする.PiOPi+1=θ(球面距離)とするとき,cosθ=(n−2)/nである.

 L1〜Lnを球面距離に直すと

  θk=2arcsin(√k/n)=arccos((n−2k)/n)

  cosθk=(n−2k)/n

より,

  θ1=arccos((n−2)/n),N1=n=(n,1)

  θ2=arccos((n−4)/n),N2=(n,2)

  θ3=arccos((n−6)/n),N3=(n,3)

  ・・・・・・・・・・・・・・・・

  θn=arccos(−1),Nn=1=(n,n)

  cosθ1=(n−2)/n,N1=n=(n,1)

  cosθ2=(n−4)/n,N2=(n,2)

  cosθ3=(n−6)/n,N3=(n,3)

  ・・・・・・・・・・・・・・・・

  cosθn=−1,Nn=1=(n,n)

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【2】正単体の場合

 n次元正単体の重心をOとする.その頂点をP1,P2,・・・,Pn+1とする.PiOPi+1=θ(球面距離)とするとき,cosθ=−1/nである.

  cosθk=(n−2k)/n=−1/n

  k=(n+1)/2

 このことから3次元立方体の頂点をひとつおきに結べば正4面体ができるが,n=3を除く奇数次元立方体の頂点をどのように結ぼうともその次元の同心正単体にはならないことがわかる.

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【3】正軸体の場合

 正軸体の重心をOとする.その頂点をP1,P2,・・・,P2nとする.PiOPj=θ(球面距離)とするとき,cosθ=0である.

  cosθk=(n−2k)/n=0

  k=n/2

 このことから4次元超立方体の頂点をひとつおきに結べば正16胞体ができるが,n=4を除く偶数次元立方体の頂点をどのように結ぼうともその次元の同心正軸体にはならないことがわかる.

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