■平面代数曲線とライスの公式(その4)

[2]三角級数のあてはめ(フーリエ解析・調和解析)

 「フーリエ解析と呼ばれる関数展開は,19世紀初頭,フランスの数学者・物理学者フーリエが熱伝導に関する著作の中で,任意の周期関数y=f(x)がサインとコサインの項の和,すなわち,単振動(調和振動ともいう)の和に分解されることを証明したことに始まります.f(x)が周期2πをもつ周期関数であるならば,・・・」の記事には勘違いがある。   (阪本ひろむ)

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[1]まず,フーリエ級数の係数を求めるために,積分を用いなければならないので,対象となる関数はRiemannまたはLebesgueの意味で積分でなければならない.

[2]また,フーリエ係数が求まったとして,それがどの関数空間(Lpなど)で収束するかどうかは別問題.

 区分的連続関数の場合の収束性は大学初年度でならった.しかし,Lebesgue積分の場合の収束性が完全に解決されたのは1960年代だった様に記憶している(このことは自信がない).詳しいことは猪狩先生の「実解析入門」を参照されたし.拙訳「バナッハとポーランド数学」でも,バナッハがフーリエ解析に関する未解決問題を解いた記事があることを思い出していただきたい.

[3]そういう意味では,フーリエの仕事は「フーリエ予想」ともいえるのである.すなわち,

「すべての関数は,三角関数の重ね合わせで表現するのではなかろうか?」

フーリエがどの程度まで,収束性を証明したかは私は知らない.

[4]なお,今日では三角関数を使うよりも,Expを使う方が一般的で,FFTもこちらを用いている.

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