■詐欺ジョンソン・ザルガラー多面体(その5)

 (その4)で紹介した(3^425^66^2)は詐欺多面体としてはずいぶんできのいい図形であり,へこみはないように見える.ポリドロンはフレキシブルなため,おそらく赤道部分が幾分膨らんだ歪んだ形にできあがっているのだろう.

 中川宏さんからメールか届いた.『この立体は(J92ではなく)ウィア・フェランの極小曲面を元に考えました.五角形が曲面になっているところを平面近似するのに苦労したことを思い出して,上下に切り離して三角形の帯で埋めてみたらどうかと発想したわけです.

 正五角形の半分を五角錐に置き換えたことがどのような効果があるかはわからないのですが,とりあえず可能な検証として,正六角形の周りに5枚の正五角形を貼り付けた部分の先端(黄色)部分の座標を計算して、正三角形とどれくらい開きがあるか確かめてみていただけませんでしょうか?』

===================================

【1】ゴールドバーグの14面体の計量

 14面体というと,ケルビンの14面体,ウィリアムスの14面体の他に,重角錐台型(4^126^2)やねじれ重角錐台型(5^126^2)も考えられます.ねじれ重角錐台型はケルビンの14面体と区別するために「ゴールドバーグの14面体」と呼ばれています.ゴールドバーグの14面体はspace fillerではありませんが,ウィア・フェランの14面体にでてくる多面体です.

 ここでは,辺の長さの等しいねじれ重六角錐台を計量してみます.正五角形の頂点を

  A(0,1,0)

  B(0,y,−z)

  C(ηcos60°,ηsin60°,−ζ)

  D(ycos30°,ηsin30°,−z)

  E(cos30°,sin30°,0)

として,数値計算すると

  y=1.61803,z=.786154

  η=1.73205,ζ=1.27202

となって,

  2(ζ−z)=.97174

 きわめて正三角形に近い値で,凹になるべき赤道部分が膨らんで凸になった歪んだ形であることが判明しました.

===================================