今回のコラムではある数から始めて,一定の手続きを繰り返すと最初の数の戻るという現象についての未解決問題を紹介します.
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【1】コラッツの3n+1問題
数をひとつ勝手に選ぶ.
[1]その数が奇数なら,3倍して1を加える.
[2]その数が偶数なら,2で割る.
どんな数を最初に選ぼうとも,この操作を繰り返し行えば必ず1になって終わる(最後はいつも4→2→1というループに陥る).しかし,あらゆる数に対して成り立つという証明も反例となる数値も見つかっていない.
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【2】10を原始根とする素数
1/7=0.142857142857・・・
(循環節:142758の長さ6)
1/17=0.0588235294117647・・・
(循環節:0588235294117647の長さ16)
のように,1/pを10進法で小数展開したときの循環節の長さがp−1となる特別な素数を10を原始根とする素数(あるいはfull-reptendな素数)といいます.
10を原始根とする素数,たとえば,
7,17,19,23,29,47,59,61,97,・・・
の密度について,アルティンは
π10(x)=Cx/(logx)
と予想しています.ただし,pを素数として,Cは
C=Π(1−1/p(p−1))=0.37395・・・(アルティンの定数)
もし,これが正しいとすれば,このような素数は無限にあり,素数全体のうち約3/8を占めることになるのですが,残念ながら証明されていません.
しかしながら,リーマン予想:ζ(s)の零点がs=−2,−4,・・・,−2nとs=1/2+tiの線上にある:が正しいと仮定するとアルティン予想の成り立つことが証明できることがわかっています.
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