■天秤の問題(その4)

[Q]aグラムとbグラムのおもりがたくさんあるとき,どんな重さを計ることができるのだろうか?

 この問題の解はよく知られていて,(その3)では以下ようなの解を与えたが,今回のコラムでは証明を与えてみたい.

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【1】解

[A]d=gcd(a,b)とすると

[1]ax+by=dは整数解をもつ.

[2]ax+by=nが整数解をもつならな,nはdの倍数である.

 すなわち,計れる重さの最小数が最大公約数であって,その倍数全体を計ることができるのである,ただし,おもりの選び方は1通りでないことに注意.たとえば,a=22,b=15の場合,

  6=22×(−12)+15×18=22×3+15×(−4)

 一般に1組の特殊解を(x0,y0)とすると,一般解は

  x=x0−bt/d,y=y0+at/d

で与えられる.もし,使用するおもりの数を最小にしたいならば,

  |x{+|y|=|x0−bt/d|+|y0+at/d|

の最小値を求めればよい.

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【2】証明

 ax+byをdで割ったときの余りは,ax’+by’の形をしていて,しかもdよりも小さいのであるから,0でなければならない.ゆえにdはすべてのax+byの形の数の約数である.とくに,dはa=a・1+b/0およびb=a・0+b・1の公約数である.一方,dはxa,bの任意の公約数で割り切れる.ゆえにd=(a,b).

 また,amx+bmyという形で最小の正の数はamx0+bmy0で,(a/d)x+(b/d)yの形で最小の正の数は(a/d)x0+(b/d)y0である.

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【3】結果の拡張

 これらの結果の拡張は容易で,

[Q]aグラムとbグラムとcグラムのおもりがたくさんあるとき,どんな重さを計ることができるのだろうか?

という問題では

[A]d=gcd(a,b,c)とすると

[1]ax+by+cz=dは整数解をもつ.

[2]ax+by+cz=nが整数解をもつならな,nはdの倍数である.

すなわち,2種類のおもりの場合と同様の結果が成立する.

 さらに,d=ax+by,d=ax+by+czのみならず,

  d=ax+by+・・・+fu

の形の数に対しても一般化することができる.

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[参]天秤の問題では,

  1,3,3^2,3^3,3^4,・・・,3^r

のおもりによって,1から(3^(r+1)−1)/2グラムまでのすべての整数の重さを量ることができ,しかもそれが唯一の方法であるという.

 一般に,母関数に関する美しい恒等式

  Π(1+x^(3^n)+x^-(3^n))=Σx^n

が成り立つ.

 ここでは,an,an-1,・・・,a1,a0が互いに独立に−1,0,1を動くとき,

  P=3^nan+3^n-1an-1+・・・+3a1+a0

によって,(2H+1)個の数

  −H,・・・,−1,0,1,・・・,H

   (H=3^n+1−1)/(3−1))

が一意位に表示されることを証明する.

(A)P=3^nan+3^n-1an-1+・・・+3a1+a0に

  H=3^n+3^n-1+・・・+3+1

を加えれば,an,an-1,・・・,a1,a0に0,1,2という値をとらせたときの数,すなわち,0,1,・・・,2Hのすべてが得られる.

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