■離散体積の問題(その8)

 オイラーの関数は,0〜a−1の数の中でaと互いに素なものの個数を表す関数で,a=p1^α1・p2^α2・・・・pk^αkと素因数分解される場合,

  φ(a)=a(1−1/p1)(1−1/p2)・・・(1−1/pk)

=(p1^α1−p1^α1-1)(p2^α2−p2^α2-1)・・・(pk^αk−pk^αk-1)

で表されます.

 コラム「ファレイ数列(その2)」において,位数nのファレイ数列の長さは,オイラー関数φ(n)を用いて,

  1+φ(1)+φ(2)+・・・+φ(n−1)+φ(n)

 〜3(n/π)^2〜0.30396n^2

になる.この近似はnが大きくなるにつれてよくなっていくことを書きました.今回のコラムではこれを証明してみたいと思いますが,その前にまず・・・.

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[Q]

  φ(a)=a(1−1/p1)(1−1/p2)・・・(1−1/pk)

=(p1^α1−p1^α1-1)(p2^α2−p2^α2-1)・・・(pk^αk−pk^αk-1)

という表現式に基づいて,素数が無限に多く存在することを証明せよ.

[A]a=p1p2・・・pkとおくと

  φ(a)=(p1−1)(p2−1)・・・(pk−1)

一方,素数が有限個(k個)しかないと仮定すると

  φ(a)=1

でなければならない.

 なお,xまでのすべての整数うちで,奇数,すなわち2で割れない数は大体半分(1−1/2)あります.奇数のうちで,3で割り切れない数は2/3=1−1/3あります.さらに,残っている数のうち,5で割り切れない数は1−1/5あります.したがって,xを越えない素数の個数はこれらの積をすべての素数pにわたってとればよいことになり,近似的に

  Π(1−1/p)・x

に等しくなります.また,調和級数1/1+1/2+1/3+・・・は,オイラー積表示するとΠ(1−1/p)^-1と書けますから,

  Π(1−1/p)^-1〜∞.

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[Q]

  Σφ(n)/n^s=ζ(s−1)/ζ(s)

が成り立つことを証明せよ.

[A]pがすべての素数を動くとき,

  Σφ(n)/n^s=Π(1+φ(p)/p^s+φ(p^2)/p^2s+・・・)=Π(1−1/p^s)/(1−1/p^s-1)=/ζ(s−1)/ζ(s)

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[Q]

  Σφ(n)=3(n/π)^2+O(nlogn)

が成り立つことを証明せよ.

[A]φ(1)+φ(2)+・・・+φ(n−1)+φ(n)

=Σμ(d)/d+2Σμ(d)/d+・・・+nΣμ(d)/d

=Σμ(d)(1+2++・・・+[n/d])

=Σμ(d)n^2/2d^2+・・・+(1+2++・・・+[n/d])

=Σφ(n)=3(n/π)^2+O(nlogn)

=n^2/2Σμ(d)/2^2=3(n/π)^2+O(nlogn)

 なお,約数の個数関数は,a=p1^α1・p2^α2・・・・pk^αkと素因数分解される場合,

  τ(a)=(α1+1)(α2+1)・・・(αk+1)

で表される.

  Στ(n)=τ(1)+τ(2)+・・・+φ(n)=n(logn=2γ−1)+O(n^1/3(logn)^2)

が成り立つ.

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