n番目の調和数を
Hn=1/1+1/2+1/3+1/4+・・・+1/n
と定義すると,H1=1,H2=3/2,H3=11/6,・・・,H∞=∞となります.それでは,・・・
(問)n>1ならば,Hn は整数にはならないことを示せ.
たとえば,分母が2のべき乗になっている項のうちで,その指数が最大のものを考えると,それと組になる項がどこにもありません.このことから,Hnは分子が奇数で,分母が偶数の分数になるのですが,このことをきちんとした形で書いてみましょう.
(証)2^k≦nとなる最大の指数をk,Pをn以下のすべての奇数の積とすると,
2^(k-1)PHn
=2^(k-1)P(1/1+1/2+1/3+1/4+・・・+1/n)
は,2^(k-1)P/2^k以外の項はすべて整数となる.
なお,これと類似の問題としては,
a) 1/1+1/2+1/3+1/4+・・・+1/n
は決して整数にはならない (タイシンガー,1915年)
b) 1/(a+1)+1/(a+2)+・・・+1/(a+n)
は決して整数にはならない (クルシュチャク,1918年)
c) 1/(a+d)+1/(a+2d)+・・・+1/(a+nd)
は決して整数にはならない (エルデシュ,1932年)
などがあげられます.
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(問)Sn=1/1+1/3+1/5+1/7+・・・+1/(2n+1)
と定義すると,S1=1,S2=4/3,S3=23/15,・・・,S∞=∞となります.それでは,n>1ならば,Sn は整数にはならないことを示せ.
(証)3^k≦2n+1となる最大の指数をk,Pを6と互いに素かつ2n+1以下のすべての整数の積とすると,
3^(k-1)PSn
=3^(k-1)P(1/1+1/3+1/5+1/7+・・・+1/(2n+1))
は,3^(k-1)P/3^k以外の項はすべて整数となる.
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Sn=1/(a+d)+1/(a+2d)+・・・+1/(a+nd)
において,a=1の場合は次のように一般化することができる.
(証)(d+1)^k≦dn+1となる最大の指数をk,Pを(d+1)!と互いに素かつdn+1以下のすべての整数の積とすると,
(d+1)^(k-1)PSn
は,(d+1)^(k-1)P/(d+1)^k以外の項はすべて整数となる.
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