リバーシブル分解合同では,デーン不変量にかわるインバリアントを導入したいところである.ところで,ハドヴィガー・グリュールの定理「平面上に面積の等しい2つの多角形が与えられたとき,一方を有限個の断片に切り分けて,平行移動と180°回転(点対称移動)だけを許して並び換え,もう一方を作ることができる.」は併せて
Σ(回転角)=0 (modπ)
と表現することができる.もし,これが変身立体でも成り立つならばひとつの不変量になる.
また,変身前後で立体Aの表面が立体Bの内部に移り,立体Bの表面が立体Aの内部の点だけから構成されているが,完全に表裏が翻転する場合は,
立体Aの切断面の面積=立体Bの表面積
も不変量になるだろう.
しかし,(その27)に掲げた
[1]菱形12面体→六角柱
[2]切頂8面体→六角柱
[3]長菱形12面体→六角柱
の変身では,立体Aの表面は立体Bの内部に移り,立体Bの表面が立体Aの内部の点だけから構成されているものの,立体Aの断面の一部が立体Bの内部に残ってしまうことがわかった.完全に表裏を翻転させることはできないのだろうか?
テトラドロンもペンタドロンも三角柱にすることはできたが,裏返しではなかった.菱形12面体,切頂8面体,長菱形12面体も六角柱にすることはできたが,いまのところ完全に表裏を翻転させることは難しそうな見通しである.
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