これまで体積公式が知られている高次元多面体は,
正単体αn,正軸体βn,超立方体γn,超球Bn
それに標準単体Δn,角錐Pyrnを加えても少数にすぎない.他に体積の計算が可能な高次元多面体はないのだろうか?
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【1】体積の計算が可能な高次元多面体
[1]n次元切頂八面体
x=2/nで正軸体βnを切頂すると,n次元切頂八面体βn(x)を構成することができる.βn(x)は空間充填2^n+2n面体であり,その体積は,n次元切頂八面体の切頂面間距離が4/nであることから,
volβn(x)=(4/n)^n/2
また,1象限分の体積は
volΔn(x)=(2/n)^n/2
になる.3次元では切頂八面体の体積はそれに外接する立方体の半分であることはよく知られている.この性質は任意の次元についても成り立つのであるが,そのことを知っている人はたとえいたとしてもごくわずかであろう.
[2]置換多面体
面数2(2^n−1),頂点数(n+1)!の空間充填多面体である.正単体αnを切頂・切稜することによって構成することができる.
[3]面数3^n−1(頂点数2^nn!)の多面体
正軸体βnあるいは同じことではあるが超立方体γnを切頂・切稜することによって構成することができる.この多面体は空間充填多面体ではない.
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【2】置換多面体の場合
1次元置換多面体は線分,2次元置換多面体は六角形である.3次元置換多面体である切頂八面体は8枚の六角形と6枚の正方形からなるが,4枚の六角形+6枚の正方形+4枚の六角形と考える.それぞれ,2次元置換多面体+1次元置換多面体柱+2次元置換多面体である.
同様に,4次元置換多面体は10個の切頂八面体と20個の六角柱からなるが,5個の切頂八面体+10個の六角柱+10個の六角柱+5個の切頂八面体と考える.3次元置換多面体+2次元置換多面体柱+2次元置換多面体柱+3次元置換多面体である.
これから類推すると,5次元置換多面体は6個の4次元置換多面体+15個の3次元置換多面体柱+20個の(2次元置換多面体柱)柱+15個の3次元置換多面体柱+6個の4次元置換多面体柱,6次元置換多面体は7個の5次元置換多面体+21個の4次元置換多面体柱+35個の(3次元置換多面体柱)柱+35個の(3次元置換多面体柱)柱+21個の4次元置換多面体柱+7個の5次元置換多面体となるはずである.
なお,((n−j)次置換多面体柱)柱・・・において,j=n−1ならばそれはn−1次元超立方体のことであるが,それは出現しないことがわかる.
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【3】正軸体版の場合
1次元正軸体版は線分,2次元正軸体版は八角形である.3次元正軸体版である大菱形立方八面体は8枚の八角形と6枚の六角形と12枚の正方形からなるが,8枚の正八角形+12枚の正方形+8枚の六角形と考える.それぞれ,2次元正軸体版+(1次元正軸体版柱=正方形=1次元置換多面体柱)+2次元置換多面体である.
これから類推すると4次元正軸体版は8個の3次元正軸体版+24個の2次正軸体版柱+32個の2次元置換多面体柱+16個の3次元置換多面体,5次元正軸体版は10個の4次元正軸体版+40個の3次元正軸体版柱+80個の((2次元正軸体柱)柱=八角柱柱,(2次元置換多面体柱)柱=六角柱柱)+80個の3次元置換多面体柱+32個の4次元置換多面体,6次元置換多面体は12個の5次元正軸体版+60個の4次元正軸体版柱+160個の(3次元正軸体版柱)柱+240個の(3次元置換多面体柱)柱+192個の5次元置換多面体柱+64個の5次元置換多面体となるはずである.
n−1次元超立方体は出現しないが,5次元のときの中央項80個が八角柱柱x個と六角柱柱y個にどのように割り当てられるのだろうか? 置換多面体の場合とは違って,一般にnが奇数のとき,中央項の割り当てが不明である.
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