■高次元正多面体の元素定理(顛末記)

 高次元正多面体の構成元素数を求めることは可能だろうか? 4次元の場合,正多面体の分解数に上限を設けない「分解合同」では

  lδ1+mδ2+nδ3+oδ4+pδ5+qδ6=0   (modπ)

としたが,元素数≧2となって煮えきらない結果しか得られなかった.

 発想の転換が必要になったのだが,この段階では正確な値ではなく,元素の最大分割数は6であるという上限を設定することが必要になる.いわば上限付き幾何であるが,前の反省をふまえて,空間充填のための必要条件

  lδ1+mδ2+nδ3+oδ4+pδ5+qδ6=2π

を満たす整数(l,m,n,o,p,q)を探索することにした.

 ファセットの形も考え合わせると,

  (0,4,0,0,0,0)

  (0,0,3,0,0,0)

  (0,0,0,3,0,0)

  (1,0,1,0,0,1)

以外に解はない.

  (0,4,0,0,0,0)

  (0,0,3,0,0,0)

  (0,0,0,3,0,0)

は実際に空間充填するが,

  (1,0,1,0,0,1)

は局所的な空間充填ではあっても大域的な空間充填にはならない(このことはトポグラフを使って簡単に証明することができる).

 以上のことから,4次元正多面体には4クラスあることがわかったが,それに引き続いて,

  (0,4,0,0,0,0)

  (0,0,3,0,0,0)

  (0,0,0,3,0,0)

が同じ元素RPを使って構成できることを示すのである.

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 5次元の場合もn+1が平方数のとき,分解合同条件

  lδs+mδc+nδo=0   (modπ)

が成り立つ可能性があることが示されていて,これも煮えきらない結果であった.

 それを空間充填条件

  lδs+mδc+nδo=2π

に変更したが,8次元の場合だけ(l,m,n)=(1,0,2)なる解が存在する.それがE8格子なのだが,その場合でも構成元素数は減らせないことが証明できて,かくして一件落着とあいなったわけである.

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