空間充填2^n+2n面体について,5次元以上は点集合がオーバーラップしている構造をとります.しかも,それらが連結するとき,何種類かの図形がさまざまな面を互いに共有し合いながら,n次元空間を連結していくのだが,その際,重複する図形はどうなるのだろうか? これまで行ってきた組み合わせ論的な方法は失敗続きで自信を失いました.計量的な方法と組み合わせてみます.
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【1】計量的な方法
正軸体の切頂面となる(n−1)次元面の頂点数は,x=2/nとして
[1]n=3のとき,1次元面上の交点を結ぶ
(x,1−x,0,・・・0)→2(n−1)=4 (正方形)
x>1−x=x/2
[2]n=4のとき,1次元面上の交点を結ぶ
(x,x,0,・・・0)→2(n−1)=6 (正八面体)
[3]n=5のとき,2次元面上の交点を結ぶ
(x,x,1−2x,0,・・・0)→4(n−1)(n−2)=48
x>1−2x=x/2
[4]n=6のとき,2次元面上の交点を結ぶ
(x,x,x,0,・・・,0)→4(n−1)(n−2)/2=40
[5]n=7のとき,3次元面上の交点を結ぶ
(x,x,x,1−3x,0,・・・0)→8(n−1)(n−2)(n−3)/2=480
x>1−3x=x/2
[6]n=8のとき,3次元面上の交点を結ぶ
(x,x,x,x,0,・・・0)→8(n−1)(n−2)(n−3)/6=280
となって,n=3,4の場合を除き,(n−1)次元正軸体にはならないことが確認される.
このとき,与えられた点に対して勝手に線を引いていくのではなく,辺長が√2xになるように結んでみよう.すると,
[1]n=3のとき,
(x,x/2,0)→(x,x/2,0) (正方形)
[2]n=4のとき,
(x,x,0,0)→(x,0,±x,0) (正八面体)
[3]n=5のとき,
(x,x,x/2,0,0)→(x,0,x/2,±x,0) (4次元平面上の正八面体×3)
[4]n=6のとき,
(x,x,x,0,0,0)→(x,0,x,±x,0,0) (5次元平面上の4次元正16胞体)
[5]n=7のとき,
(x,x,x,x/2,0,0,0)→(x,0,x,x/2,±x,0,0) (6次元平面上の4次元正16胞体×4)
[6]n=8のとき,
(x,x,x,x,0,0,0,0)→(x,0,x,x,±x,0,0,0) (7次元平面上の5次元正32胞体)
n=5では正八面体3個の相貫体が5次元正軸体の頂点の位置に並び,n=6では4次元16胞体が6次元正軸体の頂点の位置に並ぶことになる.しかし,これはオーバーラップすることを考慮に入れていないため,矛盾を生ずる.そこで,結ぶ相手を変えて線を引いてみることにする.なお,2つの頂点で1つの座標が異なり,それ以外は等しいとき,辺が存在する.
[1]n=3のとき,
(x,x/2,0)→(x,0,±x/2) (正方形)
[2]n=4のとき,
(x,x,0,0)→(x,0,±x,0) (正八面体)
[3]n=5のとき,
(x,x,x/2,0,0)→(x,x,0,±x/2,0)
2つの4次元切頂面の3次元交線上の点から4本の辺がでる (正八面体)
[4]n=6のとき,
(x,x,x,0,0,0)→(x,x,0,±x,0,0)
2つの5次元切頂面上の4次元交線上の点から6本の辺がでる (4次元正16胞体)
[5]n=7のとき,
(x,x,x,x/2,0,0,0)→(x,x,x,0,±x/2,0,0)
3つの6次元切頂面の4次元交線上の点から6本の辺がでる (4次元正16胞体)
[6]n=8のとき,
(x,x,x,x,0,0,0,0)→(x,,x,x,0,±x,0,0,0)
3つの7次元切頂面上の5次元交線上の点から8本の辺がでる (5次元正軸体)
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【2】雑感
与えられた点に対して線を引く.たとえば,正八面体同士を結ぶと角柱構造ができるが,空間充填2^n+2n面体は切頂のみで切稜操作は入ってこないから,角柱構造をもたない.すなわち,n次元正軸体を切頂してできるn−1次元胞は,n−1次元正軸体の頂点と胞の位置に新たな面ができる構造であることがわかる.
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