半径1の超球に内接する正多胞体について,一頂点から他頂点への距離(あるいはその2乗)の積がどのような意味をもつのかよくわかりませんが,計算してみるのは面白いと思います. (一松信).
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【1】距離の積の計算
Coxeterの本の付録にある表を参考にして計算してみました.
[1]n次元正単体
1辺の長さ={2(n+1)/n}^1/2
積={2(n+1)/n}^n/2
2乗の積={2(n+1)/n}^n
n=2のときは3^2=辺数の2乗
n≧3では(n+1)/nが整数でないので,整数でない
[2]n次元正軸体
1辺の長さ=2^1/2
積=2^2(n-1)/2・2=2^n・・・これは胞の個数と一致するが偶然??
2乗の積=2^2n
[3]n次元超立方体
1辺の長さ=2/√n,・・・
2乗の積=(4/n)^(2^n-1)Πk^(n,k)
n=2のとき16=4^2
n=4のとき2^8・3^4=20736 (2乗しない積も144)
は整数.n=3のとき,2^17/3^6など,それ以外は整数にならない.
それはΣ(n,k)=2^n−1に注意するとよい.つまり,
(4/n)^(2^n-1)Πk^(n,k)=Π(k/n)^(n,k)・4^(2^n-1)
と表される.nが素数ならもちろん整数でない.合成数でも奇数の素因子があれば分母に残る.nが2の累乗でも8=2^3以上では分母の2の累乗の方が分子の分よりも大きい.これはおおざっぱですが,これを精密化すれば完全な証明になりそうです.
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【2】散在型についての距離の積の計算
[1]正24胞体
積=2^4・3^4=1296
2乗の積=6^8=1679616・・・頂点の数などとは無関係?
これは正24胞体の96辺が16個の正六角形に分解されることに注目すると,平面の正六角形の場合を活用して容易に計算できます.下記の正600胞体についても720辺が72個の正十角形に分解されることを活用しました.
[2]正十二面体
√5が消えて,積が2^22/3^9(ほぼ213.1)
2乗の積は2^44/3^18 (整数でない)
[3]正二十面体
√5が消えて,積が2^11/5^5/2(ほぼ183.1)
2乗の積は2^22/5^5 (整数でない)
[4]正600胞体
積が2^16・3^10・5^6 (それ自体平方数)
[5]正120胞体
難物.改めて計算してみますが,整数になりそうです.
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【3】まとめ
どうやら,2乗の積がすべて有理数になるというのは,正多胞体全体に通じる一般性のようですが,その値がどういう意味をもつのかよくわかりません.
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