空間充填2^n+2n面体は
[1]n次元立方体を超平面:x1+・・・+xn=n/2で切頂する
あるいは
[2]n次元正軸体を超平面:x1=2/nで切頂する
ことによって得られます.
そのとき,2次元胞・3次元胞が以下のようになることがわかっています.
[1]3次元立方体の辺の中点と面の中心の間を通る場合
切頂八面体(正方形と正六角形で囲まれる図形)
[2]4次元立方体の面の中心を通る場合
正24胞体(正八面体で囲まれる図形)
[3]5次元立方体の面の中心と3次元面の中心を通る場合
42胞体(正八面体と切頂四面体で囲まれる図形)
[4]6次元立方体の3次元面の中心を通る場合
76胞体(正八面体と正四面体で囲まれる図形)
(その77)では,空間充填2^n+2n面体の面数公式について,
[1]正軸体の面数公式・・・・Nk^(n)=2^(k+1)nCk+1
立方体の面数公式・・・・Nk^(n)=2^(n-k)nCk
を組み合わせたものになること
[2]nのパリティー(奇数か偶数か)によって違いを生ずるため,nが偶数か奇数かのケースにわける必要がある
[3]f1=n/2・f0も成り立たないから単純多面体ではないし,置換多面体にみられた逐次構造も有していないようである
と予想しましたが,本当でしょうか?
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【1】空間充填2^n+2n面体の逐次構造
与えられた点に対して,勝手に線を引いていけば多面体は作れますが,空間充填2^n+2n面体にすべく,勝手に点をつないで線は引けても面を構成するには相手を選んで線を引かねばならないし,逐次的に引くのも大変です.
そこで,現在わかっている空間充填2^n+2n面体
2次元:(f0,f1)=(4,4)
3次元:(f0,f1,f2)=(24,36,14)=切頂八面体
4次元:(f0,f1,f2,f3)=(24,96,96,24)=正24胞体
について,n−1次元胞がどのようになっているのかを調べてみます.
[1]切頂八面体
正八面体の頂点の位置に正方形(2次元正軸体),2次元面の位置に正六角形(切頂三角形)がある.
[2]正24胞体
正16胞体の頂点の位置に正八面体(3次元正軸体),3次元面の位置に正八面体(中点切頂四面体)がある.
これから類推すると
[3]5次元42胞体
4次元正16胞体の頂点の位置に正16胞体(4次元正軸体),4次元面の位置に4次元浅切頂単体がある.
[4]6次元76胞体
5次元正32胞体の頂点の位置に正32胞体(5次元正軸体),5次元面の位置に5次元中点切頂単体がある.
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【2】まとめ
3次元空間の場合,頂点との中点の間で切頂するか(浅切頂),辺の中点を通って切頂するか(中点切頂),中点を越えた位置で切頂するか(深切頂),3段階の多面体があります.正単体は自己双対図形なので本質的には2段階の変化となります.正四面体{3,3}(1,0,0)を切頂する場合,
[1]辺心に達するまで:切頂四面体{3,3}(1,1,0)
[2]辺心 :正八面体{3,3}(0,1,0)
[3]辺心から面心の間:切頂四面体の形{3,3}(1,1,0)
[4]面心 :正四面体
となる.
4次元空間では5段階の多胞体があり,正単体の場合は3段階の変化,一般のn次元空間では(2n−3)段階の多胞体があり,正単体の場合は(n−1)段階に変化します.4次元の正単体の切頂については
[0]4次元の正単体 :正5胞体{3,3,3}(1,0,0,0)
[0−1] :10胞体{3,3,3}(1,1,0,0)
[1]辺の中点を通る場合:10胞体{3,3,3}(0,1,0,0)
[1−2] :10胞体{3,3,3}(0,1,1,0)
[2]面の中心を通る場合:10胞体{3,3,3}(0,0,1,0)
[2−3] :10胞体{3,3,3}(0,0,1,1)
[3]胞の中心を通る場合:正5胞体{3,3,3}(0,0,0,1)
このことから,空間充填2^n+2n面体
{3.・・・,3,4}(・・,0,1,0,・・・・)
{3.・・・,3,4}(・・,0,1,1,0,・・)
の面数公式については,
[1]浅切頂正単体{3.・・・,3}(1,1,0,・・・,0)
[2]中点切頂正単体{3.・・・,3}(0,1,0,・・・,0)
の面数公式が必要になるものと考えられる.
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